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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

東京モーターショーの地盤沈下は防げるか

来年の10月29日から11月8日までの期間に、
第44回東京モーターショーが開催されます。
場所は、前回と同じく東京ビッグサイトです。

2009年の東京モーターショーは、
リーマン・ショック後で、会場も千葉県の幕張メッセでした。
出展企業は過去最低の約110社で、正直、みすぼらしかった。

11年の東京モーターショーは、09年の反省を踏まえて、
会場を24年ぶりに都内の東京ビックサイトにしました。
その結果、スケジュールの関係上、開催時期が遅れ、
ロサンゼルスや広州のモーターショーの開催と、スケジュールがかぶった。

しかし、出展企業は171社に回復し、
米国メーカーの出展こそなかったものの、
ベンツやBMW、フォルクスワーゲンなどの欧州メーカーが戻ってきた。
東日本大震災直後であり、歴史的円高などの六重苦、
タイの大洪水など苦しい年でしたが、
日本の自動車産業の復活を印象づけるモーターショーでした。

そして、昨年開催された、前回の東京モーターショーです。
東京ビッグサイトで開催され、連日大賑わいの大盛況でした。
残念ながら、やはり、ロスや広州のモーターショーと開催が重複した。
米国メーカーからの出展も、依然ありませんでしたよね。
しかし、出展企業は178社、期間中に90万人以上が訪れました。

ところが、今度は、「人が多すぎてクルマが見えない」という不満が出たんですね。
私は昨年2度モーターショーに出かけましたが、
人が多くて、ゆっくりと、楽しめないだろうなと思いましたよ。
まあ、09年、11年に比べれば、嬉しい悲鳴ではありますが、
ビッグサイトは、アクセスがいいので人が集まりやすいうえ、
幕張メッセに比べて狭いですから、物理的に苦しいのは事実ですよね。

では、来年に迫ったモーターショーは、どうするか。
いくつかの対策が練られています。
まず、会場はビッグサイトのまま、開催時期は前倒し、
ロスや広州のモーターショーと期間の重複を避けたのは、
賢明ですよね。

中国は、いまや世界最大の自動車市場です。
その中国広州のモーターショーと重複していては、
正直、日本のモーターショーに勝ち目はありませんからね。
これによって、各社は東京モーターショーに出展しやすくなるはずです。
米国メーカーの出展も期待したいところですよね。

日本自動車工業会会長の池史彦氏は、15日の自工会の会見の席上で、
米ビッグ3について、「日本のモーターショーに出て
一緒に盛り上げてほしいというのが個人的な思い」と語りました。

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※自工会会長の池史彦氏

それから、次のような新しいチャレンジをするといいます。
前回実施した人数限定の「プレビューナイト」をレベルアップし、
「プレビューデー」として、開催時間を拡大。
この「プレビューデー」後半は、障害者手帳をもつ人の特別見学日にするそうです。
さらに、一般公開日を1日前倒してスタートします。
物理的な狭さを、時間を伸ばすことで、少しでも相殺するというのです。

東京モーターショーが、かつてのように、
デトロイト、ジュネーブ、パリ、フランクフルトと並ぶ、
世界5大モーターショーとして、再び魅力を取り戻す日はくるのか。

東京モーターショーの魅力は、高い技術力が集まることにあります。
世界中の自動車メーカーの最先端技術が結集し、
世界の自動車ファンが憧れるモーターショーになるのか。
重要なのは、肝心の日本メーカーが、
魅力ある技術を発信できるかどうかでしょう。
関係者の努力が望まれますよね。

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