ソニーの2014年4~6月期連結決算は、最終利益が前年同期に比べて
約8.6倍の268億円でした。
一見すると、回復基調のようですが、これは、不動産売却で得た
148億円による押し上げ効果によるものです。
経営再建は、まだまだ……といっていいでしょう。
誤算の一つは、成長事業の一つに位置づけているモバイル事業が、
赤字に転落したことです。
モバイル事業の4~6月期の営業損益は、27億円の赤字となり、
通期見通しも260億円の黒字を損益ゼロに下方修正しました。
記者からの「通期の赤字の可能性は?」という質問に、
「あると思います」と答えた、CFOの吉田憲一郎氏の声は、
心なしか、弱々しかったですよ。
厳しい話ですよね。
理由は、普及価格帯のスマートフォンの販売不振です。
吉田氏は、「見通しが甘かった」と会見で述べましたが、
実際のところ、低価格機などでシェアを伸ばしている中国メーカーに
太刀打ちできず、スマホの新興国向けのビジネスモデルは
暗礁に乗り上げたかたちです。
まあ、あのサムスンも、スマホ事業に陰りが見えてきました。
ソニーがうまくいかないのは、仕方ないのか……。
この5月、社長の平井一夫さんは、「今期は、構造改革をやり切る」と
断言しましたが、いずれにしろ、早くも苦しいスタートとなったわけです。
「残り9か月間でやり切る。ぶれずにやる」と、吉田氏は明言しましたが、
果たしてどうなるでしょうかね。
記者会見前、会場にはソニーミュージックがヒットさせた、
ファレル・ウィリアムズの「ハッピー」が大音響で流れていました。
いまのソニーの現実とは、あまりにもかけ離れた歌詞に、
皮肉というか、うすら寒いものさえ感じたのは、
多分、私だけではなかったでしょう。
ソニーに「ハッピー」がやってくる日はくるんでしょうか。