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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日産の躍進はどこまで続くか

明るい兆しが見えてきました。日産のことです。

2014年度第1四半期決算は、売上高が前年同期比10・4%増の
2兆4656億円となり、第1四半期としては過去最高となりました。
連結営業利益は1226億円、売上高営業利益率は5%です。
4~6月期の利益実績について、「社内計画を上回った」
と、日産自動車執行役員の田川丈二氏はいっていました。
過去2年、業績の下方修正を余儀なくされたことを振り返れば、
大躍進といっていいでしょうね。

日産自動車 2014年度第1四半期決算説明会で話す田川丈二執行役員(2014年7月28日)

日産自動車2014年度第1四半期決算について説明する執行役員の田川丈二氏(14年7月28日)

国内販売についても、「増税の影響が少なかったといいきるには
まだ早すぎるかなと思うが、反動減は想定よりも少なかった」
と、田川氏は決算発表の記者会見の席上、胸を張りました。
4~6月期の日本国内の販売台数は、0.5%減の13万4000台。
SUV「エクストレイル」、軽「デイズ・ルークス」が健闘し、
市場占有率は0.1ポイント改善、11・5%となりました。

さらに、年度の国内販売台数は上向きそうな勢いです。
「日産は2014年度の国内販売台数を上方修正する方向で
検討に入った」という記事が、8月14日付の日刊工業新聞に
掲載されていましたね。

計画中の64万台を60万台後半に上方修正する背景には、
SUV「エクストレイル」と軽「デイズ」シリーズの
好調があることは間違いありません。
実際、軽「デイズ」は、7月の新車販売ランキングの軽部門で
1位のダイハツ「タント」に続く2位で、1万4832台です。

いまから振り返ってみれば、2012年の日産は、ドン底でしたよ。
乗用車の国内販売台数において、前年度2位から5位へと
転落したのですからね。ショッキングでしたよ。
1位トヨタ、2位ホンダ、3位スズキ、4位ダイハツに続いて、
5位でした。独り負けの状態でした。

なぜ、そんなことになったのか。
新車市場の4割近くを占める軽へのシフトに
乗り遅れたほか、主力小型車の販売低迷がありました。

ところが、今回は、軽「デイズ」の好調、
昨年発売したSUV「エクストレイル」の販売増です。
日産は、2012年の屈辱を完全に果たしたといっていいでしょう。

日産の好調は、日産系部品メーカーの決算にもあらわれています。
「第1四半期の北米の全体需要は引き続き伸長し、
西ヨーロッパは回復の兆しが見えています」
と、田川氏は、語りましたが、
実際、北米と欧州の売上高の増加を受けて、
日産と取引が多い部品メーカーは、大幅な増収増益となりました。

日産の躍進がどこまで続くかは、まだしばらく見守る必要がありますが、
一時期の低迷を脱したことだけは確かですよ。

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