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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

パナの新家電はシニアの心をつかめるか

昨日、パナソニックは紀尾井町のホテルニューオータニで、
シニア向け家電シリーズ「Jコンセプト」の発表会を開きました。
“シニア向け家電”とは、どういうことでしょうか。

経済産業省の「産業活動分析」(平成24年1~3月期)によると、
高齢者世帯は、59歳以下の世帯と比較して、
「家具・家事用品」に対する消費支出額が増えているとあり、
他の世代と比べて、家にとどまる時間が長くなるから
と、その理由を分析しています。
であるとするならば、シニア向けの家電があってもいいじゃないか
と、パナが考えて不思議はないでしょう。
なにしろ、シニア層は、お金にも時間にも余裕がある。

そうだとしても、問題は、いかにシニア層にアピールする
家電を開発するか。
「50代、60代の方々は、モータリゼーション、レジャーブームなど、
社会の変化を経験してきました。生活経験が豊かなそうした人たちは、
ものの本質を見極めることができる人たちです。そうした層に受け入れられる
家電をつくるために、3万人以上の人たちの声に耳を傾けてきました」
パナソニック専務の高見和徳さんは、そのように開発の経緯を説明しました。

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※発表会で説明するパナソニック代表取締役専務の高見和徳氏

シリーズ第一弾は、掃除機、エアコン、冷蔵庫です。
例えば、掃除機は、ボディを素材から見直し、ホースとノズルも軽量化。
本体重量2キロを実現して、お年寄りが持ち運びしやすくしています。
エアコンは、新採用の気流技術により、従来品より5度高い
35度の温風が足元に届くのが特徴。
冷蔵庫は、棚を低くして、背の低い女性でも腕や肘に負担をかけずに、
スムーズに出し入れができるように配慮されています。
確かに、「世界最軽量」の掃除機は、高齢者のストレスを軽減するのは
間違いないでしょう。

ただ、あえて一言。
パナソニックは、この“シニア向け家電”を「Jコンセプト」とまとめ、
“和”のイメージを打ち出しています。
掃除機のボディには、綾織という織り目模様が採用されたりしていますが、
“和”のイメージは、果たしてシニアに受けるのか。
それから、シリーズの掃除機にしても、エアコンにしても、
冷蔵庫にしても、生活が便利にはなるとは思いますが、
ロボット掃除機「ルンバ」にあるようなワクワク感にやや欠けます。

いまの50代、60代は、アクティブシニアといわれます。
人生を貪欲に楽しんでいます。
生活を楽しみたいと思っています。
そうした世代が選ぶ家電は、使う楽しさがあったり、
生活が楽しくなるようなものであっていいはず。
便利も大事ですが、例えば、もっとデザインに
“遊び心”があっていいんじゃないか。
もっともっと、デザインに力を入れてほしい。
いまのパナソニックなら、そうしたチャレンジができる。
いや、ぜひとも、そうしたチャレンジをしてほしいと思いますね。

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