「ホンダジェット」の機体の販売とともに、じつは、もう一つ、
注目すべきは、小型ジェットエンジンの販売です。
ホンダは、米ゼネラル・エレクトリックと共同で
小型ジェットエンジン「HF120」を開発しました。
2015年納入予定の「ホンダジェット」への搭載は決まっていますが、
それにとどまらず、ホンダはもっと大きな野望をもっているんですね。
このクラスのエンジンの2強は、米プラット&ホイットニー社と
米ウィリアムズ・インターナショナル社です。
つまり、その牙城に、ホンダは「HF120」をおし立て、殴り込もうというのです。
ホンダは、この軽クラスのビジネスジェットの市場規模を
2020年に300機~400機と見ていますが、
そのうち3分の1に「HF120」のエンジンを搭載したいと
野心を燃やしているんですね。
ホンダがGEと共同開発した「HF120」は、燃費、信頼性、低騒音、
低エミッション性能などを向上させながら、推力2095ポンドを
実現した自信作です。
同クラスの既存のエンジンに対して、巡航燃費は、10%改善されました。
小型軽量、低燃費でありながら、十分な推力を発揮するエンジンを
開発できたのは、ホンダが駆動エンジンを保有し、GEがエンジンを
利用するノウハウをもっていたからです。
両社は、互いの強みを融合して新型エンジンを開発し、
米国連邦航空局の認定試験に合格しました。
ホンダのエンジンには、「F1」で培った技術の蓄積があります。
その技術の蓄積が、航空機エンジンにプラスに働いたのはいうまでもないでしょう。
さて、ホンダが「HF120」の外販に力を入れるのは、
エンジンの台数を稼げば、部品交換の収入などで安定したビジネスになる
と考えるからです。
「単品だけでなく、サービスで利益を上げる体制をつくります」
と、本田技術研究所社長の山本芳春さんは語ります。
航空機エンジンの寿命は、最低30年と聞いたことがありますが、
きちんと整備すれば、半永久的に使用できるという話も聞きました。
ということは、エンジンの販売、さらにメンテナンスで、
長期間にわたって、安定した収益が期待できるということですね。