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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ホンダに何が起こっているのか!?

ホンダにまたしても、問題発生である。

24日、ホンダは2003年7月から14年6月までの11年間にわたり、
米国で死傷事故などの報告を怠っていたことを公表しました。
申告漏れはじつに1729件に上り、
本来であれば申告すべき件数の6割が未報告だったというのです。
もし、そうだとすれば”経営の品質”が問われます。

ホンダによれば、原因は、コンピュータのプログラム上のミスや
データの入力ミス、法律の誤解にあったという。
これらについては、すでに修正済みと説明してはいるものの、
第三者機関による調査によれば、社員は11年にすでに問題の存在を把握。
12年1月には米国運輸省高速道路交通安全局によって報告漏れを指摘されながらも、
本格的な社内調査を始めたのは14年9月からだったというのです。

情報管理体制の杜撰さを非難されても仕方がないような事態です。
今日になって、日本の国土交通省は、リコールの見直しを指示しました。

ホンダは、13年9月に発売した3代目フィットについて、
5度のリコールを実施、
同年12月発売のヴェゼルについても3度のリコールを実施するなど、
この1年間、リコール連発状態になっています。

ただ、タカタのエアバッグ問題については、
ホンダは販売店にリコールを正確に伝えなかった責任があるとして、
米国議会の公聴会で追及されましたが、
エアバッグのリコール自体はホンダの技術的な問題ではないし、
リコール費用は、タカタの有償対象となる公算がつよいといわれています。

今回の報告漏れは、これらとは次元の違う話だと思います。
企業のコンプライアンスに直結する問題だからです。
万が一でも、報告漏れが意図的なものであることがわかれば、
ブランドイメージの失墜はもとより、一気に信頼を失い、
企業の存亡を左右する事態にも陥りかねないのではないでしょうか。

振り返ってみれば、
ホンダは2000年代初頭、いまより深刻な品質問題に悩んでいました。
そこで2002年、当時社長を務めていた吉野浩一さんが、
“桁違い品質”すなわち“ケタヒン”のコンセプトを打ち出し、
品質改善活動に取り組みました。

開発部門は機能や性能だけでなく、
製造時の「つくりやすさ」「バラツキを抑える」ことを考慮した図面設計を行う。
生産部門は、図面に基づき「バラツキ発生を基準内に抑える」ための製造管理を実施する。
一言でいえば、設計と製造の両面から品質保証体制を強化してきたんですね。
ケタヒンの結果、ホンダの品質は急速に高まったといわれています。

いったい、ホンダの内部で何かが起こっているのか……
考えざるを得ませんよね。

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