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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日産・志賀さんの語るグローバル・リーダー論

今日、早稲田大学大隈講堂で、
日産自動車の代表取締役副会長の志賀俊之さんの講演会がありました。
これは一般社団法人日本自動車工業会が、
若い世代の人々にクルマやものづくりの魅力を感じてもらうために、
大学と連携して行っている「大学キャンパス出張授業2014」の一環です。
大隈講堂は学生でほぼ満席でした。

講演のテーマは「あなたはどっち?ガラパゴス?グローバル?」です。
志賀さんは、以前、アジア太平洋営業部課長やジャカルタ事務所長、
常務取締役を務めていたとき、一年間に50か国を訪れ、
150日を海外で過ごしていたといいます。
日本を代表するバリバリのグローバル・リーダーといっていいでしょう。
ではグローバル・リーダーになるための秘訣はなにか。
志賀さんは、ときおりユーモアを織り交ぜながら、学生に熱く語りかけました。

志賀さんのメッセージはきわめて明確です。
第一に、「ガラパゴス化」や「ガラパゴス人材」は、
必ずしも否定すべきではないということです。
例えば、ガラパゴスの代表格とされる軽自動車には、
燃費がいい、小回りが利く、小さいのに室内が広いといった強みがあります。
それと同じで、日本人の勤勉さ、機敏さ、謙虚さは、大きな強みだというのです。

もっとも、世界で戦える人材になるためには、
これらの強みに磨きをかけるだけでは不十分だと語ります。
志賀さんは、グローバル・リーダーになるためには、
以下、3つの力を身に付けなくてはいけないと語りました。

1つは、「共感力」です。ダイバーシティ(多様性)を受け入れる力です。
自らの意見を確立しながらも、異なる意見をリスペクトし、積極的に受け入れる。
双方の意見の距離感や違いを理解したうえで、
ディベートしながら、一つの答えを導きだす力ですね。

2つ目は、「発信力」です。
ひとことでいえば、自分の考え方をしっかりと伝える能力です。
これからのグローバル競争を勝ち抜くためには、
モノづくりよりも、コトづくり、
すなわち、ブランディングの力がカギを握る。

そして、3つ目は「革新力」です。
従来と同じ仕事をするのではなく、日に新た、つねに革新をしていく力です。
イノベーションを創出し、違いを生み出す能力といってもいいでしょう。

では、これらの能力を身に付けるにはどうしたらいいのか。
何より大切なのは、高い目標を持つこと、
漠然と生きていてはリーダーにはなれない。
しっかりと勉強して「ナレッジ」を身に付ける。
経験や練習を積み重ねて「スキル」を高める。

自らが理想とする人の行動特性や思考特性を徹底的に学び、
「コンピテンシー」を身に付ける。
つまり、目標をたえず意識しながら、
ギャップを埋めていくことが大切だというわけです。

それから、大過なく過ごすことを目標に掲げたり、
安住な道を選んでいるかぎり、
グローバル・リーダーには絶対になれない。
自らリスクを取って前に進まなければいけない。
この姿勢が日本企業や日本人には欠けていると語りかけました。

志賀さんは、次のような言葉で講演を締めくくりました。

「リスクをとってなんぼだと、人生は。
という気持ちで勝負をかけるぞ、というふうになってくれれば、
今日、声がかれそうになるぐらい長い話をした甲斐があったかなと思います」

日産の復活、成長の秘密を垣間見た気がしました。

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