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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日産・志賀さんの語る、No.2の哲学

今日は、日産自動車 代表取締役副会長の志賀俊之さんの
早稲田大学大隈講堂での講演についての最終回です。
今日は、志賀さんの“NO.2”哲学について書きます。

講演後の質疑応答の時間に、学生から次のような質問が出ました。
「これからのグローバル社会で、NO.2に求められる資質とは何でしょうか」

「とてもいい質問だと思います」
志賀さんは、そう前置きしたうえで、次のように答えました。

「経営というのは、サッカーのチームのように、チームでやるものだと思います。
シュートを打って得点を決めるフォワードだけでなく、
ミットフィルダー、ディフェンダーがいなければゲームには勝てません。
同じように、カルロス・ゴーンのようなカリスマ性のある強いリーダーだけでなく、
彼のようなリーダーを支える人材、
それから、守るべきところをしっかりと守れる人材が不可欠なんですね。
つまり、それぞれの立場の人たちが、
自分の持ち場をしっかりと守らなければ、経営は成り立たちません」

プロフェッショナルとして、自らに課せられた役割に徹する。
まずは、これが基本中の基本というわけですな。志賀さんは、さらに続けました。

「重要なのは、その場その場の状況に応じて、
ベストフォーメーションを組めるかどうかです。
サッカーでいえば、相手チームの戦略によって、
ミッドフィルダーが『ワントップをやれ』といわれるときもありますよね。
それと同じで、与えられた状況のなかで、
自らがどのような役割、ポジションを担うのが会社にとっていいことなのか、
あるいは、その時々のベストフォーメーションとはなにかを
臨機応変に判断し、行動する力がマネジメントには求められます。
それには、自分はナンバーツーだと決めつけないで、
日頃から訓練や勉強を積み重ねることで、いざというときには
リーダーシップをとるだけの力を身につけておく必要があると思います」

イザというときには、トップに代わり、
いかんなくリーダーシップを発揮するだけの資質がなければ、NO.2は務まらない。

志賀さんは、2010年から12年まで、
日本自動車工業会の会長を務めましたが、
そのリーダーシップには目を見張るものがありました。
2011年3月の東日本大震災への対応はその一例です。

志賀さんは、震災直後から、トヨタ自動車社長の豊田章男さんや、
ホンダ社長の伊東孝紳さん、三菱自動車社長の益子修さんらと、
携帯電話で連絡を取り合いながら、被災地の工場の生産再開、
寸断されたサプライチェーンの復旧に向けた基本方針を決めていきました。
志賀さんのリーダーシップなくして、
自動車業界の早期復活はありえなかったのではないでしょうかね。

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