トヨタ自動車は4日、2015年3月期連結業績予想を上方修正し、
連結営業利益が前期比17.8%増の2兆7000億円の見通しになる
と発表しました。
また、14年4~12月期連結営業利益は、前年同期比14%増の2兆1148億円で、
4~12月期として07年以来、7年ぶりに過去最高を更新しました。
4~12月期の営業利益がリーマン・ショック前の水準を上回ったことになります。
記者会見の席上、佐々木卓夫常務役員は、次のように述べました。
「仕入れ先をはじめとするオールトヨタで、原価改善努力、
営業活動に取り組んできた結果と考えています」
連結営業利益については、過去最高益を見込んでいた従来予想から
一段と上振れしたわけですが、トヨタは好業績をどう見ているのでしょうか。
というのも、豊田章男社長は今年度を、「意思ある踊り場」と位置づけています。
その言葉には、目先の規模拡大ではなく、持続的な成長のための足固めを優先すると
いう強い意思が託されています。
「数字がよくなったからといって、スタンスは変わりません。
将来に向けて“いいクルマをつくろうよ”という考え方のもとに、
中長期に向けて長い目をもってやっていくことに変化はありません」
と、佐々木さんは説明しました。
その新たなクルマづくりを担うのが、「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・
アーキテクチャー)」です。
トヨタは15年度、「TNGA」の第1弾として、次世代「プリウス」を発表します。
トヨタが提唱する「TNGA」は、商品力の飛躍的向上と原価低減を同時に達成する
新しいクルマづくりの設計思想です。
端的にいえば、モジュール化です。
原価低減活動とは次元の異なる取り組みです。
「TNGA」効果による原価低減は、30%にも及ぶといわれています。
ですから、「TNGA」が計画通りに実現すれば、トヨタは一回りも二回りも
強くなるのは間違いありません。
その点で、私が注目したのは、今回発表された連結決算見通しでの
営業利益率“10%”という数字です。
これは、トヨタの圧倒的な国際競争力を意味します。
世界で1,000万台以上の車を販売しながら、
営業利益率10%というのは、自動車メーカーとしては驚異的数字です。
ちなみに、日本の製造業の営業利益率は、平均2.9%
(財務省 法人企業統計調査結果)といわれています。
稼ぐ力が弱いのです。
また、ライバルのフォルクスワーゲングループの営業利益率は
5~6%台といわれています。
トヨタは、これから17年度にかけて、次世代「プリウス」に続き、
「TNGA」による「ヴィッツ」「カムリ」などの新車を発売する計画です。
つまり、「TNGA」を全面展開するまでは、
「意思ある踊り場」を続けるというわけですね。
かりに、「TNGA」が軌道に乗れば、営業利益率は10%以上になり、
トヨタの稼ぐ力は、とてつもなく高まるでしょうね。