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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

老人の”安否確認”する商店街

今朝の日経新聞に、
「世田谷区、高齢者にカード 買い物で安否確認」
という記事が載っていました。
今日は商店街のポイントカードについて考えてみます。

記事によると、東京世田谷区は、
京王線千歳烏山駅沿線の烏山駅前通り商店街「えるもーる」と連携し、
ポイントカードを活用した、高齢者見守り事業をスタートさせたとあります。

烏山駅前通り商店街といえば、
スタンプ事業の先駆けとして有名な商店街ですよね。
1965年に大型スーパーが出店してきたとき、
値引きでは対抗できないことへの危機感から、
日本で初めてスタンプ事業をスタートさせました。

加盟店で買い物をすると、100円で1枚のスタンプがもらえます。
烏山駅前通り商店街がユニークなのは、
貯めたスタンプを商店街での買い物はもとより、
ミュージカルなどのチケット交換、
昭和信用金庫・みずほ銀行烏山支店などでの預金にも利用できるところです。
消費者にとってみれば、おトク感がありますし、何よりも面白いですよね。
驚くべきことに、地域の通行客の95%が
カードを持っていたというデータもあるそうです。

千歳烏山駅周辺には、いまでも、
ライフやオオゼキ、西友といった大手スーパーがありますが、
商店街の活気は全く失われていません。
1990年代の大店法の緩和以降、
商店街の多くがシャッター街と化したなかで、
烏山駅前通り商店街の活気が失われないのは、
ポイントカード活用によるロイヤルカスタマー戦略というか、
囲い込み戦略が一役買っているのは間違いないでしょうね。

さて、肝心の高齢者見守り制度の仕組みは、以下の通りです。
使用するのは、烏山駅前通り商店街に2月に導入された新ICカード
「ダイヤスタンプカード」です。
烏山地域の一人暮らしの65歳以上のお年寄りが事前登録すると、
さまざまな特典を受けることができます。

例えば、商店街の加盟店でカードを提示すると、
買い物をしなくても、「見守りポイント」がたまっていきます。
400ポイント貯めると、500円分の商品券として利用できます。
お年寄りにとってみれば、商店街のなかをぐるぐる歩き回るだけで、
「見守りポイント」を貯めることができるばかりか、健康増進を図れる。
お店にとってみれば、ついで買いのチャンスが増える。
まあ、ウィンウィンといってもいいでしょうな。

さらに、カードの利用が約20日間、確認できない場合には、
商店街組合が、事前に登録された緊急連絡先に電話で問い合わせる。
それでも連絡がつかない場合や、なにか異変を感じた場合には、
世田谷区に連絡し、職員が自宅にかけつけ安否確認を行うということです。

孤独死を防ぐためには、
むろん頻繁に確認した方がいいでしょうが、
カードによって、安否確認をする仕組みは、すこぶる興味深い。
また、なかなか面白いアイディアではないでしょうか。
コミュニティの役割を担おうという自負のあらわれというか、
“元祖スタンプ商店街”の面目躍如といったところでしょうかね。

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