トヨタ自動車は8日、2015年3月期の連結売上高が27兆2345億円、連結営業利益が2兆7505億円と発表しました。2年連続の最高益更新です。
「TNGAと新工場は、これからがまさに正念場です。現場ではチャレンジとエラーの連続がたくさんあると思います。しかし、チャレンジしなくなれば、成長は止まります。数値にプラスになるか、ならないかではなく、チャレンジし続ける。その実行段階が始まりました」と、社長の豊田章男さんは、決算記者会見の席上、語りました。
トヨタは今年、「TNGA」の第一弾となる「新型プリウス」を販売します。3年間、凍結していた工場建設を解除し、メキシコと中国の工場建設を発表しました。つまり、「意志ある踊り場」を終え、持続的成長に向けての「実行段階」に入ったということですね。
それから、豊田さんは人材育成の大切さを強調しました。その象徴が、役員体制の大幅刷新です。
河合満さんがこの4月、初の技術職出身の役員に就任したのはその一例です。現場に強い人に権限を渡しました。河合さんは、トヨタ工業学園の卒業生で、トヨタ入社後は、鋳造部で「セルシオ」や「カローラ」の製造にかかわってきました。本社工場鋳造部長、本社工場副工場長など経て、2013年1月、技術職トップの技監になりました。
このほか、トヨタの役員には、グループ会社のデンソーおよびアイシンから人材を迎えました。これも異例の人事です。
今回の役員人事には、トヨタは変わらなければいけないという強いメッセージが込められています。
「私は、トヨタを持続的に成長し続ける会社にしたいと考えています。そのためには、適材適所で誰でもどこでもいつでも出番があるよという態勢を敷きました」と、豊田さんはいいました。
前にも書きましたが、トヨタは昨年、ライバルのVW(フォルクスワーゲン)グループに2万台の差をつけられて首位陥落しましたが、単体でみると、話が違ってきます。ワーゲン単体の販売台数は約400万台ですから、トヨタ単体の販売台数897万台の半分に過ぎません。つまり、単体でみれば、ワーゲンはライバルとはいえません。文字通り、トヨタは、世界のどのメーカーも経験したことのない単体での1000万台の未知の領域にチャレンジすることになります。その準備ができたということですね。