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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

パナが開発中の“水素製造装置”とは

パナソニックは、せんだって水素を自宅で簡単につくれる製造装置を開発中と発表しました。実用化されれば、それこそ水素は一気に身近なものになりますね。

水素製造装置のイメージ

水素製造装置のイメージ

ご存知のように、水素は、無尽蔵の資源で、パワーが大きく、しかもクリーンなエネルギーであることから、化石燃料にかわるクリーンエネルギーの有力選手として注目されていますよね。ところが、従来の副生水素、原油随伴ガス、褐炭といったエネルギー源から水素を製造する方法では、製造過程でCO2が発生することから、厳密には、クリーンなエネルギーとはいえませんでした。

その点、太陽光などの再生エネルギーから水素が得られるようになれば、問題は解決されるわけです。しかしながら、触媒の開発がネックとなり、これまで太陽光から水素をつくり出すのは容易ではなかった。

7月3日、江東区有明の「パナソニックセンター東京」で、パナソニックは開発中の家庭用水素製造装置を発表しました。光触媒パネル装置を屋根に敷き詰め、そこに水を満たして、太陽光を照射して水素をつくり出す仕組みです。

カギは、パナソニックが独自に開発した、「ニオブ系触媒」です。従来の光触媒は、太陽光の中にわずかしか含まれていない紫外線の下でしか働かなかったのですが、「ニオブ系触媒」は、太陽光の中でもっともエネルギー量が多い可視光線に反応して水素を生み出すといい、全太陽光の57%が使用可能になるとされています。

つまり、これにより、屋根でつくった水素で家電を動かしたり、給湯したりできるだけでなく、燃料電池車にカーボンフリーの水素を供給できるようになるんですね。

普及のポイントは、コストダウンです。「燃料電池の実績があり、機器のコストダウンはできます。ただ、むずかしいのは貯蔵技術ですね」と、パナソニック専務の宮部義幸さんは、説明会の席上、語りました。

光製造デバイスを持つ宮部専務

光製造デバイスを持つ宮部専務

目指すのは、家庭で使う電気を全量、太陽光からつくった水素でまかなうことです。技術面の課題はまだまだあるとのことですが、本命材料として「ニオブ系触媒」を開発したことは、実用化に向けた大きな一歩といえます。

エネルギーを自給自足する家が実現するのは、2020年以降になるということです。夢のある話ですね。

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