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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

グーグルの自動運転車負傷事故、次へのステップにできるか

米グーグルは、2009年から、自動運転車の開発を行ってきました。
異業種からの参入として、注目を集めていますよね。20年ごろの実用化を目ざしています。グーグルに限らず、自動運転は、技術的には、すでに十分に実現可能なレベルにあるといわれます。

そのグーグルの自動運転車で、負傷事故が起きました。今月1日、カリフォルニア州マウンテンビュー付近の路上で、信号待ち中の自動運転車に後続車が追突し、乗っていたグーグル社員3人が、軽いむち打ちになったのです。
17日に、グーグルが発表しました。自動運転車の負傷事故は、初めてです。

グーグルの自動運転車は、これまで「無事故」とされてきました。しかし、グーグルは、今年5月、じつは、09年から今年5月までに11件の事故に遭っていたと発表しました。ただし、グーグルの説明によれば、自動運転車が原因のケースはないそうです。

グーグルの自動運転車プロジェクトの責任者クリス・アームソン氏も語っていることですが、長時間自動車に乗っていれば、軽い事故に遭うのは仕方がありません。
むしろ、これまでに約272万km、つまり地球68周分も走行して、けが人が出た事故は1回だけというのは、技術は、ほぼ確立されているともいえます。

自動運転の技術は、人のミスによる事故なくす、「夢」の技術です。
ただ、当然のことですが、自動運転車がどれだけ安全運転をしていても、周りに人間が運転しているクルマが走っている限り、人のミスによる事故の可能性は消えません。グーグルの自動運転車が事故に遭うことは、その証拠です。

世界中のクルマが自動運転車になれば話は別ですが、それは現実的ではありません。
自動運転車は、当面は、人間が運転するクルマと一緒に道路を走行することになります。そのなかで、人間のミスによる事故から、自動運転車を守るための技術が必要になります。

今回の事故を踏まえて、さらなる技術進化が求められます。法整備などをめぐって、まだまだ議論も必要です。完全自動運転の「実用化」は、まだ遠いといわざるを得ません。
しかし、注目が高まれば、法やインフラの整備も進めやすくなります。
今回の負傷事故が、自動運転技術が次の段階に進むためのステップになればいい。
「夢」の技術への千里の道も、一歩からです。

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