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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

トヨタ、中国市場を攻め切れるか

トヨタは、2016年3月期第1四半期決算を発表しました。営業利益は、前年同期比9.1%増の7560億円。ただ、販売台数は、北米は堅調ですが、国内、アジア、中南米では前年比マイナスです。ロシアを含めた欧州も微減です。

通期の見通しによると、グループ全体の販売台数は、前年比マイナス1%の1015万台の据え置きです。売上高は3000億円引き上げて27兆8000億円、営業利益は2兆8000億円と据え置きです。依然、高い利益水準ですね。

※トヨタ常務役員の大竹哲也氏

※トヨタ常務役員の大竹哲也氏

心配なのは、景気減速の中国ですね。ただ、大竹さんによると、「商用車市場の落ち込みに加えて乗用車市場も縮小しつつある」ものの、トヨタの状況は、「販売台数上は影響を受けていない」ということでした。
事実、価格競争が激しく収益面は悪化していますが、販売台数は、直近、前年比を上回っており、年間見通しの従来目標110万台を達成できるペースという話です。

中国市場は、いまや世界一の自動車市場です。
トヨタにとって、VW(フォルクスワーゲン)との世界販売台数のトップ争いを考えれば、もっとも重要な市場といっていいでしょう。
トヨタは今回、中国において、「競争力のある工場づくり」として、天津一汽トヨタ自動車で天津市経済技術開発区に新ラインを建設し、18年年央から新型車を生産すると発表しました。

新ラインは、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を前提としたラインで、車種や量の変更に柔軟に対応できる、伸縮自在ラインです。
「中国のモノづくりの競争力をさらにつけていく。量の拡大というよりは質の向上をしっかりやっていきたい」とは、大竹さんのコメントです。

中国では、今期、海外初の現地製ハイブリッドユニットを搭載した『カローラ』『レビン』を発売します。環境問題が深刻な中国において、現地製のハイブリッド車は、大きなセールスポイントになるでしょう。

トヨタは、景気減速中の中国市場において、このまま販売台数を伸ばし、攻め切ることができるかどうか。ワーゲンやGMに後れを取った中国市場で、トヨタは今後、どこまで巻き返しができるか、注目されます。

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