ユニクロを展開するファーストリテイリングの「週休3日制」の導入に驚いた人もいるのではないでしょうか。ただし、当面、対象となるのは「地域正社員」です。
報道によると、ファーストリテイリングは、今年10月から一部正社員に「週休3日制」を導入します。
対象となるのは、国内で働く転勤のない「地域正社員」約1万人。希望すれば、週休3日を選択できるようにする。1日の勤務時間を10時間に伸ばして、一週間の労働時間は40時間確保し、給与水準は変えない。
日本で初めて完全週休2日制を採用したのは、パナソニック(当時は松下電器産業)で、1965年のことです。
創業者の松下幸之助は、米国のような高い生産性を実現するために、週休2日制によって、十分な休養をとって心身の疲労を回復し、文化生活を楽しむことが重要だと考えたんですね。いわば「ワーク・ライフ・バランス」ですか。
それから50年が経ちました。ファストリの「週休3日制」導入の狙いは、いったい、どこにあるのでしょうか。
小売業やサービス業を中心に、人手不足が問題になっています。定年の延長や、パートやアルバイトの時給アップなど、業界では人手の取り合いが起きていますね。
つまり、働き方を多様化し、選択肢をたくさん用意することによって、社員の定着率をあげ、離職を減らせるというわけですね。
育児や介護など、さまざまな事情を抱える社員が、制約のなかでも退職せずに正社員として働き続けられる環境の整備ですね。
07年には、転勤のない「地域正社員」制度を導入し、パート従業員の正社員化を進めたほか、昨年には、地域正社員が1日平均4時間から働ける「週20時間」勤務を可能とする制度を設けるなどしています。
ファストリは、20年に売上高5兆円を掲げていますが、その実現には、優秀な人材が欠かせない。
そういえば、04年に柳井正さんにインタビューした際、著作にサインをお願いしたら、「店は客のためにあり 店員とともに栄える」と書いてくださいました。
店を栄えさせるためには、まずは、従業員が働きやすい環境を整備すること。「週休3日制」も、そのための施策の1つですね。