トヨタは8月17日、4WD「ランドクルーザー」をマイナーチェンジして販売開始しました。注目は、初搭載されたデンソー製の衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンスP」です。
トヨタの予防安全パッケージには、単眼カメラとレーザーを組み合わせた「トヨタセーフティセンスC」と、単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせた「トヨタセーフティセンスP」の2種類があります。「トヨタセーフティセンスC」はコンパクトカー向け、「トヨタセーフティセンスP」は、中型・上級車向けです。
15年4月発売の「新型カローラ」には、「トヨタセーフティセンスC」が初搭載されました。センサーを供給したのは、独ボッシュとならぶ部品大手の独コンチネンタルです。なぜ、コンチネンタルだったのか。ドイツ勢の先行を許したのか。
いやいや、そこには、トヨタのしたたかな戦略があったんですね。つまり、コンパクトカー向けはコンチネンタル、中型・上級者向けは、グループ会社のデンソーという棲み分けです。
「セーフティセンスは、一気に普及することを目指して、TNGAで開発してきました」と、2014年11月27日に開かれた「安全技術説明会」の席上、トヨタ専務役員の吉田守孝さんは語りました。
トヨタは、「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)」に基づき、グループ会社のデンソーと一緒になって、開発段階からじっくりと衝突回避支援パッケージをつくり上げてきました。
「TNGA」は、商品力向上と原価低減を同時に達成する新しいクルマづくりの思想です。いうまでもなく、それぞれの国や地域の交通事情に合わせて仕様を変えることになれば、膨大なコストがかかってしまいますよね。それを解決するのが、「TNGA」。基本的な部品やユニットを共用化することにより、それぞれの国や地域に合った車を機動的に導入できる。
「トヨタセーフティセンスP」は、歩行者事故にも対応した世界トップレベルの予防安全性能を備えています。トヨタは、「トヨタセーフティセンスP」の「ランドクルーザー」への搭載を皮切りに、一気に日米欧への展開を図る計画です。一気に世界展開ができるのは、「TNGA」のもとに開発してきたからにほかなりません。
トヨタが“意志ある踊り場”の中で進めてきた「TNGA」の成果が、満を持してというか、いよいよもって出てきたわけです。今年の東京モーターショーでお披露目される、「TNGA」の第一弾、次世代「プリウス」も見逃すことはできませんね。