Loading...

経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

トヨタも「シーテック」出展を見送り

10月7~10日に幕張メッセで開催される国内最大の家電・IT見本市といえば、「CEATEC(シーテック)」です。昨年は、オムロンや村田製作所の「ロボット」に人だかりができていましたが、今年は何が目玉になるか。いや、それどころか、「シーテック」そのものの影が薄くなっているという話です。どういうことか?

「シーテック」は、最新デジタル製品を手にすることができる体験型の展示会として人気を博してきましたが、07年の出展社895社、来場者数約20万人をピークに縮小傾向をたどっているんですね。14年は出展が547社、来場者は約15万人でした。

規模の縮小とともに、13年日立製作所、14年ソニーと、“大物企業”が出展を見合わせ、今年は、東芝が出展を取りやめると発表しましたよね。

ただし、電機大手の出展縮小を補うかのように、ここ数年、「シーテック」の新たな顔として存在感を発揮していたのが、自動車関連企業です。昨年は、トヨタ自動車が超小型電気自動車、テレマティクスサービスなどを展示し、ITとクルマの融合をアピールしました。ホンダ、マツダなどもブースを構えていました。

「シーテック」の主役はいよいよ、「家電」から「自動車」に様変わりかと話題になりましたが、その“新たな主役”のトヨタが今年、「シーテック」の出展見送りを発表した。「毎年、出展すると決めているわけではない」とトヨタはいいますが、本当のところはどうなのでしょうかね。新技術や新製品があふれる、全盛期の「シーテック」と比べて、魅力が薄れているのではないでしょうか。

世界の家電見本市には、9月にドイツで開かれる「IFA」、1月に米国で開かれる「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」があります。「シーテック」は、アジア最大の見本市といわれてきましたが、その存在感低下の要因として、日本の家電メーカーの世界市場での凋落があります。それから、IT・モバイルやAV、白物家電まで世界各国の大手メーカーが最新の技術や製品を出展する「IFA」を無視することはできませんね。

ベルリンで15年9月4~9日に開催された「IFA2015」には、フィリップスやサムスン電子、LG電子のほか、日本からはソニーやパナソニックが出展しました。9月2日のプレイベント初日には、ソニー社長の平井一夫さんが、4Kテレビや新しいハイレゾ対応商品についてのスピーチを行い、ニュースになりました。

つまり、世界の電機メーカーは、9月の「IFA」において、年末商戦時期をにらみ、新商品のアナウンスをしてしまうわけですね。これでは、日本で10月に開かれる「シーテック」の魅力が薄れて当然ですよね。

いずれにしろ、今後も企業の出展見合わせが続けば、「シーテック」の存在意義そのものが問われます。「シーテック」が大きな岐路に立たされているのは間違いないですね。

ページトップへ