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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ホンダもついに提携拡大

ホンダは、米GM(ゼネラル・モーターズ)との提携拡大を検討しています。なぜでしょうか。

よく知られるように、ホンダほど自前技術へのこだわりが強いメーカーはありません。もともと、創業者の本田宗一郎語録に「他人のマネはしないこった」という言葉があります。実際、エンジンの燃料噴射システム、ハイブリッドシステムなどについても、最大手のトヨタとは異なる独自技術をもっています。「技術のホンダ」の矜持がある。
そのホンダが、GMと提携拡大を検討するというのですから、気になりますよね。

ホンダとGMが、次世代型燃料電池システムと水素貯蔵システムの共同開発について、提携契約したのは2013年7月のことです。今回の提携の具体的な内容はまだわかりませんが、これもまた、環境技術に関連することは間違いないでしょうね。

というのは、近年、環境技術をめぐる開発競争は、どんどん加速しています。
先のVW(フォルクスワーゲン)の規制逃れの不正も、背景には、VWに、環境技術に出遅れたという焦りがあったことは、間違いありませんからね。

環境対応エンジンは、いまや、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、電気自動車、燃料電池車、ディーゼル・エンジンなど多岐にわたります。ハイブリッドは、ある程度普及しましたが、次代の本命技術は何になるのか、まだはっきり見えていない。
したがって、自動車メーカーは、一つの技術に傾斜するとリスクが大きいため、複数の技術をカバーしたい。しかし、それには、ケタ違いの巨額の開発費がかかるため、他社と技術提携を結ぶわけです。

トヨタは、環境技術に関しては「全方位」と公言し、ほぼ全分野の環境エンジンの技術開発を行っています。世界一のトヨタでさえ、マツダのほか、独BMWからディーゼル・エンジン技術の供給を受け、環境技術分野でも協業しているんですね。

先日、破談に終わったVWとスズキの提携も、もともと、スズキはVWから環境技術の提供を受けるつもりだったんですよね。

では、ホンダは、どうか。ハイブリッド、プラグインハイブリッド、電気、燃料電池などの技術を開発していますが、“体力の差”もあって、トヨタのように広範にわたって深く技術を追求するのは、容易ではない。

現に、ホンダは一昨年から昨年にかけて、新型「フィット」のリコールを5回もしました。そのウラには、開発技術者の不足があるといわれましたね。つまり、いってしまえば、ホンダは、自前技術にこだわっている場合ではなくなったのです。

だいいち、時代は、オープン・イノベーションです。いまや、すべてを独自で開発できる時代ではありません。強みとする独自技術を磨きつつ、ほかの優れた技術をもつ他社と組めば、より付加価値の高いものを創出できる可能性が高まります。それに、そうすれば、開発スピードを上げることもできます。

独自路線を走ってきたホンダは、激変する開発環境のなかで、方針転換せざるを得ないということではないでしょうかね。

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