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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

トヨタの大野望計画!

トヨタが元気です。オリンピックが開かれる2020年に向けて、ハイブリッド車や水素自動車など、環境対応車に関する販売の具体的な数値目標を発表した。それも、慎重派のトヨタには珍しく、かなり高い数値です。トヨタの自信を感じさせますね。

10月14日、都内で開催された「環境フォーラム2015」で掲げられたのは、野心的なチャレンジ目標です。ディーゼルエンジン車の排ガス規制逃れの問題を受けて信頼を失墜させた独フォルクスワーゲンとは対照的です。

「私たちは、20年、30年先の世界を見据えた、もっと高いレベルでの新たなチャレンジが必要と考えます」と、席上、会長の内山田竹志さんは語り、6つの挑戦からなる「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表した。
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注目は、2050年に新車が排出するCO2の総量を2010年比で90%削減するとした「新車CO2ゼロチャレンジ」です。

「新車CO2ゼロ」の達成に向けた省エネルギーの取り組みはこうです。従来比で10%以上の燃費向上、世界トップレベルのエンジン最大熱効率を達成した高熱効率・低燃費エンジンを開発し、2014年から15年の2年間で世界で14機種のエンジンを順次導入する。さらに、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)による高性能なパワートレーンを開発し、順次導入するというんですね。

たとえば、ハイブリッド車は2020年までに年間販売台数150万台、累計販売台数1500万台の達成を目指す。ちなみに、トヨタはHVを全カテゴリーにラインアップし、2015年7月末現在のHVのグローバル累計販売台数は800万台を突破している。つまり、ハイブリッド車を5年間でおよそ倍にする意欲的な計画です。

その第一弾が、昨日、日本で初お披露目された4代目となる次世代「プリウス」だ。燃費40キロ/リッターのほか、ハイブリッドシステムの進化、TNGAによる低重心で走りの楽しさを実現している。次世代「プリウス」は順次、世界で発売するという。

また、燃料多様化への対応については、電気利用促進への取り組みを進める。ハイブリッド技術は、電池・モーターなど各種次世代車開発に必要な要素技術を含んでおり、プラグインハイブリッド車、電気自動車、FCVなどへの展開が可能なコア技術と位置づけている。

注目したいのは、水素社会の実現に向けた取り組みです。トヨタは2014年12月に日本でFCV「ミライ」を販売開始したが、米国・欧州でも販売を開始する。

「ミライ」は15年2月のラインオフ当時、日産3台に過ぎなかった。それを、2020年頃以降は、グローバルで少なくとも17年の生産規模の一桁増の10倍となる年間3万台以上の販売を目指すとしている。

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きわめて野心的数字だ。きっと「ミライ」の量産技術にもメドがついたのだろう。

FCVの普及は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを機にはずみがつくと考えており、2020年頃以降は少なくとも月販1000台レベル、年間では1万数千台の販売を目指すという。

また、FCバスは2016年度中に東京都を中心に導入を開始し、2020年の東京オリンピックに向けて100台以上をめどに準備する計画。加えて、販売増に向けては、水素インフラの整備に力を入れる。東京オリンピックでは、間違いなく、トヨタの先進的なFCV技術が世界に発信されることでしょう。

こういっちゃあなんですが、世界各地で起きているディーゼル車の顧客離れは、トヨタにとって追い風といっていい。ハイブリッド車は、日本でしか売れていないガラパゴス車だと陰口を叩かれることもありましたが、EV車より販売台数が多いことからいっても、また一歩、ハイブリッドは環境車として世界の頂点に近づいたといえるのではないでしょうかね。

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