先月29日、パナソニックとソニーの第2四半期決算発表が行われました。
日本の製造業は、2008年のリーマン・ショック以降、11年の東日本大震災やタイの洪水、さらには、歴史的円高や電力不足、高い法人税などの「六重苦」等、立て続けに厳しい外部環境の変化にさらされてきました。
パナソニックについていえば、苦しい時代を乗り越えて、ようやく落ち着いてきた印象です。“薄日”がさしてきましたよね。
パナソニックは、12年に社長に就任した津賀一宏さんのもと、改革を進めてきました。
12年3 月期、13年3月期と、2期連続で7500億円を超える巨額赤字に陥りましたが、14年3月期は1204億円の黒字、15年3月期は1794億円の黒字、今期は1800億円の黒字を見込みます。
※10月29日の第2四半期決算発表会で説明する津賀一宏さん(右)
パナソニックは、危機の後、B2Bに大きく舵を切り、車載が伸びたほか、パナホームなど、新たな稼ぎ頭の芽が見えてきました。
ただし、津賀さんは、「2018年度に売上高10兆円」という目標に対し、「1年1年が勝負だということで、今年度については、少し厳しい要因が増えてきている」と語りました。すなわち、まだ「晴れ」とはいえません。
ソニーは、どうか。あえていえば、“雨上がり”でしょうか。
ソニーの15年4~9月期の決算は、売上高3兆7007億円、純利益1159億円の黒字に転換しました。上半期の黒字は5年ぶりで、通期では1400億円の純利益を見込みます。
ただし、現在のソニーは、出血が止まった段階に過ぎません。
12年4月に社長に就任した平井一夫さんは、各事業の分社化を進めるなど、“止血”作業を進めてきました。「VAIO」ブランドをもつパソコン事業を売却。テレビ事業やオーディオ事業を分社化したほか、現在、モバイル事業の構造改革を進めています。
財務体質の健全化も進め、ようやく、スタートラインに立った。しかし、テレビに代わる稼ぎ頭が見えているわけではない。
さて、東芝は、不適切会計後の新体制が始動したところです。
イメージセンサー事業をソニーに売却することが決まるなど、リストラが本格化するのはこれからです。白物家電やテレビ等の構造改革が進行中ですが、稼ぎ頭が見当たらないなか、財務体質は脆弱で、健全とはいい難い状況です。
東芝は、いまだ“豪雨”のなかにあるといえます。
自動車産業が全般に「晴れ模様」のなか、家電産業に「晴れ間」が見えるのは、もう少し先になりそうですかね。