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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

東芝・シャープの“弱者連合”に勝ち目はあるか

東芝は、昨年発覚した一連の不正会計問題によって、一気に経営危機に陥りました。
シャープもまた、液晶事業の巨額投資の失敗に加え、マネジメントの混乱などから、やはり経営危機に陥り、再建中です。
報道によると、経済産業省が所管する官民ファンドの産業革新機構は、両社の白物家電事業を統合する案を検討中といいます。

東芝は、経営再建策として、パソコン事業において他社と合弁会社設立、テレビ生産の撤退などを検討しているほか、7800人の人員削減などを発表しています。さらに、ここにきて、“お荷物”の白物家電事業について、産業革新機構の出資を受ける案が浮上しています。

一方のシャープは、昨年9月に3200人以上の人員削減を行ったほか、本社ビルをニトリに売却しました。さらに、液晶事業の分社化など、さまざまな案が検討されています。
そのなかで、産業革新機構は、シャープの過半数の株式を取得して経営権を握ったうえ、東芝の白物家電事業との統合を含めて、再建案を検討中といわれています。

シャープをめぐっては、かねてから台湾の鴻海精密工業や、米計投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ、同ベインキャピタルなども、出資や事業買収などの提案をしているといわれています。

問題は、日本として、東芝、シャープの技術が海外に流出するのは防ぎたいと、経産省が考えていることですね。また、雇用を守る観点からも、産業革新機構の再建案を後押しをしていることですよね。

しかし、日本を代表する家電メーカーが2社が同時に経営危機に陥った現在、産業革新機構が、両社の白物家電事業を統合するというのは、やや、お役所的な判断に過ぎるといえるのではないでしょうか。
むろん、家電産業は、日本の宝です。確かに、他国に渡すのはしのび難いですよね。しかし、負け組がひっついても、しょせん「弱者連合」ではないでしょうかね。

考えてみれば、日本の白物家電市場には、東芝、シャープ以外にも、パナソニック、日立、三菱、富士通など、国内メーカーがひしめき入り乱れており、混戦状態ですわね。
世界市場を見ても、サムスン電子やLG電子など韓国企業に加え、ハイアールなど中国企業が台頭。欧州市場では、シーメンス、ボッシュ、フィリップスなど地場メーカーも強い。まあ、この市場で勝ち抜いていくことは、容易ではありませんよ。

東芝とシャープが組んで、どれほどの相乗効果が期待できるのか。
事業統合といえば、両社の社風や企業風土なども成否にかかわる問題です。
過去、歴史的なつながりの深い、パナソニックと三洋電機の事業統合でさえ、シナジー効果は期待したほど発揮されませんでした。一緒になるにしても、よほどの覚悟が必要ですね。

もっとも、そうはいっても、構っていられない現状にあることはよくわかりますわね。したがって、“弱者連合”といわれようと、両社がくっつき、これを機に日本の家電業界の再編が一気に進めば、よしとしなければなりませんね。

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