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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

トヨタはなぜ“組織改革”するのか

トヨタは、この4月から組織の再編に取り組みます。組織体制をクルマのタイプごとに分けるというんです。これはなぜかという話です。

トヨタは、2014年に続いて15年も世界販売台数1000万台を突破しました。1000万台というのは、とてつもない数字です。
じつは、以前にも指摘したことがありますが、世界販売台数1000万台突破というのは、長い自動車の歴史の中でも、過去にはありません。つまり、前代未聞の話ですね。これは、何を意味するかといえば、1000万台販売のオペレーションを自動車メーカーは持っていないということです。

だって、考えてみてください、世界中に1000万台のクルマを販売するオペレーションおよびマネジメントは、どのメーカーも経験したことがないわけですからね。

トヨタは、じつは13年以来、自動車事業を、日米欧を担当する「第1トヨタ」、中国、アジア、南米など新興国を担当する「第2トヨタ」に加え、「レクサスインターナショナル」、部品などを扱う「ユニットセンター」の4つのビジネスユニットにわけてきました。
これを、今回クルマのタイプごと、すなわち「レクサス」「乗用車」「小型車」「商用車」の4つに分けるというのです。

もっとも、トヨタが組織改革を行うのは、珍しいことではありません。
過去、例えば1990年代にも組織改革を行っています。バブル崩壊後の92年に、技術部門を4つの開発センターに分割再編したんですね。
このときの組織改革では、技術統括副社長のもとに、第1(FR車)、第2(FF車)、第3(RV車)、第4(ユニット部品)という4つの開発センターを置き、4人の役員がそれぞれのセンター長を務めました。
さらに、各センターごとに、規格、デザイン、ボディ設計、シャシー設計、パワートレーン設計、実験・試作の部を設け、部長が管理する体制です。
その後、前述したように、13年には現在の4つのビジネスユニットを設けました。

トヨタでは、「3年何も改善しなければ、会社がつぶれる」といわれています。「変わらないことは悪いこと」と考え、つねに改善を積み重ねる企業文化をもちます。派手な改革を行うことは少ないですが、その分、つねに身近な問題から取り組み、泥臭く、堅実で、地道な前進を続けます。

トヨタは今期、過去最高益を見込みます。いわば、絶頂期の改革ですよね。
順調だからこそ、変える。ここに、トヨタの「変える」DNAを見ることができます。

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