パナソニックは、1月19日、次亜塩素酸による空間除菌技術に関する技術セミナーを行いました。
次亜塩素酸といえば、パナソニックは昨年11月、法人向けの空間洗浄機「ジアイーノ」を発売しています。次亜塩素酸をフィルターに含ませ、空気を除菌・脱臭するというものです。「ジアイーノ」は、フィルターに空気を通すと同時に、送風ファンによって、次亜塩素酸水溶液から揮発した有効塩素成分を室内に飛散させます。今回は、これによって、より広い空間を除菌・消臭できることを確認したといいます。
「次亜塩素酸方式は、広範囲な空間から中、小空間まで、空気感染対策にもっとも有効な技術だと考えています」
パナソニックエコシステムズ社技術グループ空清チーム空間清浄機ユニットユニットリーダーの山田哲義さんはそう語りました。
実際、パナソニックが行った室内実験では、例えば、約25立方㍍の空間では、付着しているA型インフルエンザウィルスは60分で99%以上、同ネコカリシウイルス(ノロウイルス代替)は240分で99%以上の抑制効果があることなどを検証したといいます。
この日の技術セミナーでは、実際、酢酸を次亜塩素酸で脱臭する体感テストが行われました。2つのミニチュアボックスの中に酢酸を含ませた脱脂綿を入れてニオイを嗅ぎ、片方のボックスには次亜塩素酸のキットを入れて脱臭効果を比較します。次亜塩素酸のキット入りのボックスは、2分後には酢酸の強烈なニオイがすっかり消えていました。
「ジアイーノ」を手掛けるパナソニックエコシステムズ社の前身は、川北電気企業といって、国産初の扇風機を開発生産したことで知られます。パナソニックは、川北電気企業と提携後、1913年のナショナルブランドの扇風機を発売して以来、室内空気質(Indoor Air Quality)向上に向けた商品を開発し続けてきた。空気清浄機は62年から、加湿器は68年から生産を開始しています。歴史がありますよね。
100年以上が経過し、室内空気質向上の技術は、扇風機から「ジアイーノ」にまで発展しました。今後、除菌脱臭技術は、病院や診療所など医療機関、介護施設などへの導入が期待できます。加えて、パナソニックによれば、幼稚園や保育園、美容院や理容院、塾、薬局、コンビニなど、除菌脱臭が必要な空間は500万室以上と推定されます。
世界的にも、PM2.5や感染症対策は大きな課題です。パナソニックがB2Bに舵を切るなかでも、注目の技術の一つといっていいでしょうね。