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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

パナソニックのミリ波レーダーは、車載だけではない!

ミリ波レーダーといえば、自動車の衝突防止装置ですよね。自転車や歩行者などを検知するセンサーとして知られます。車の周囲に〝ミリ波〟と呼ばれる波長の短い電波を送り、対象物の反射波から距離やサイズ、方向などを測定するものです。
しかし、ミリ波レーダーの用途は、自動車だけではありません。

先月28日、パナソニックと京都大学は、ミリ波レーダーによる心拍センシング技術のセミナーを開催しました。
パナソニックは、車載用のミリ波レーダーの技術は、2013年に発表しています。今回は、ミリ波レーダーの技術を、心拍数などを非接触で測定する技術に応用しました。

心拍計といえば、腕時計型や指先に装着するものなどが思い浮かびます。従来、身体に身に付けて測定する「接触型」が多かった。さらに、正確に計測しようとすれば、心電計を使うため、衣服の着脱などで測定に時間がかかっていました。
ところが、今回発表された技術では、数メートル離れた場所からでもわずかな時間で高精度に心拍数や心拍間隔などを測ることができます。

※ミリ波レーダーのデモ機による心拍間隔等の計測

※ミリ波レーダーのデモ機による心拍間隔等の計測

テストでは、ミリ波レーダーのデモ機の前に被験者が座ると、瞬時に心拍間隔などがモニターに映し出されました。

「心拍間隔の変動から、自律神経の状態が推定できるといわれています」と語ったのは、パナソニック基盤技術研究部アナログプロセッシング研究課主幹研究員の酒井啓之さんです。
人間は、精神的ストレスがかかった状態では、くつろいでいるときと比較して、心拍間隔の変動が少ないといいます。つまり、心拍間隔からストレスの状態を推測できる。
昨年、企業の従業員に対するストレスチェックが義務化されましたが、デスクワーク中のストレスチェックなどにも応用できるといいます。

※10センチ四方に小型化した場合のミリ波レーダーを手にするパナソニックの酒井さん

※10センチ四方に小型化した場合のミリ波レーダーを手にするパナソニックの酒井さん

ほかにも、例えば、部屋にミリ波レーダーを設置して、高齢者や赤ちゃんの突然死を防いだり、クルマに設置して居眠り運転を防止したりする用途が考えられます。
一般人でも、寝室に設置して、睡眠の質を含めた健康管理などにも役立てられる。

もっとも、この技術がビジネスになるまでには、まだまだ時間がかかります。
「10年後の実用化をメドに開発」といっていましたからね。
企業が、長期的視点で技術をじっくりと育て、モノにするには、体力が必要です。いまの東芝やシャープには、そんな体力はありませんよね。
その意味で、時間がかかることを承知で開発を続けているパナソニックは、十分な体力を備えた企業といえるでしょうね。

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