2020年開催の東京五輪。国際的に注目を集める一大イベントであるがゆえに、テロの標的になる可能性は否定できません。無事に乗り切ることができるのか。問題は、警備に必要な人員の確保が簡単ではないということです。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、オリンピック競技大会の期間中の警備要員に合計5万850人を投入すると発表しました。内訳は、警察官2万1000人、民間警備員1万4000人のほか、警備ボランティア9000人などです。
会場の出入管理や競技会場の巡回などには、民間警備会社の力が不可欠です。ところが、民間警備会社は、ご多分にもれず、慢性的な人手不足に直面しており、限られた人員の中で警備をこなさなければなりません。しかも、テロの脅威もあり、警備のハードルはきわめて高いんですね。
そこで期待されるのは、ハイテク技術を使った、警備のレベルアップと警備の効率化です。
パナソニックは2月4日、江東区有明のパナソニックセンターで、2020年開催の東京五輪に向けた、インタラクティブ統合監視システムを公開しました。ウェアラブルカメラを装着した警備員をセンターで集中管理するシステムです。
仕組みはこうです。警備員は、ウェアラブルカメラ、骨伝導ヘッドホンが一体化したヘッドマウントを身につけ、ウェアラブルカメラで撮影した会場の様子をリアルタイムでコントロールセンターに送ります。
コントロールセンターでは、送られてきた映像をリアルタイムで解析し、人ごみの中に特定された危険人物がいないかどうかを判別します。危険人物の顔の特徴をあらかじめデータ化しておき、解析ソフトが分類するんですね。
危険人物が抽出された場合、警備員のヘッドマウントディスプレイにその危険人物の映像が映し出されます。警備員は、その映像を随時確認しながら危険人物を追跡します。
その際、コントロールセンターは、スマートフォンなどを通して警備員に指示を送り続けます。
「オリンピック会場では、何が起こるかわかりません。問題発生時には、警備員とセンターが情報を共有しながら、的確な判断、対応をしていくことが重要になると思います」
というのは、会場の説明員のコメントです。
パナソニックは監視システムの実用化に向けて、2月22日から3月4日まで、成田国際空港第2旅客ターミナル1F~4Fで実証実験を行っています。ウェアラブルカメラを装着した警備員が空港内を移動し、位置測位精度の検証やシステムの有効性を確認します。
2020年に向けて外国人観光客が増えるなか、人が多く集まる空港や観光地などの警備の強化が求められています。日本の警備システムをハイテクでどこまで進化させられるか。ここでも、日本の技術が試されますね。