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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ホンダの燃料電池車の“実力”

ホンダは、FCV(燃料電池車)「クラリティ フューエルセル」を発売しました。トヨタが、世界初の量産型FCV「ミライ」の市販を開始したのは、2014年の12月ですから、1年3ヶ月のおくれをとったわけですね。

ホンダによると、今回発売する「クラリティ」は、当面、自治体や企業を中心にリースでの販売に限られます。そして、市場の意見や要望を収集したあと、はじめて、個人への販売を開始する方針といいます。ですから、一般の人が「クラリティ」を購入できるのは、さらに1年半ほど先の予定ということになります。

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※クラリティ フューエルセルと八郷さん

思えば、2002年に世界で初めてFCVの「FCX」のリースを日米で開始したのは、ホンダでした。今日の会見の席上、社長の八郷隆宏さんはそのことに触れ、「私たちは、FCVのリーディングカンパニーであるとの自負をもっています」と語りました。しかし、正直、いまや先頭を走るトヨタとは、やや差が開いている印象ですよね。

あとから販売するからには、先行企業より優れている点がなければお話になりませんね。その点は、どこにあるのでしょうか。

今回、ホンダ「クラリティ」は、まず、世界初の5人乗りのFCVを実現しました。ちなみに、トヨタの「ミライ」は4人乗りです。
カギを握っているのは、燃料電池パワートレインの小型化です。

燃料電池スタック用セルを高効率化、薄型化し、全体で従来比30%の小型化を実現しました。この点も、トヨタのFCVとは違って、ホンダの“売り”といっていい。
これによって、座席の下などに配置されていた燃料電池スタックを、ガソリン車のエンジン同様、ボンネットのなかに収めることができ、レイアウトの自由度が増したんですね。
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※新型燃料電池スタック用セル構造。左が新型、右が従来品。

つまり、ホンダお得意のパッケージングの巧さで、5人乗りを実現したということです。

それから、燃費性能です。従来比30%改善し、一度の水素の充填によって、JC08モードで750km走行可能です。「ミライ」が同650kmですから、この点は「クラリティ」有利といえます。

一方、価格についていえば、「ミライ」723万6000円に対し、「クラリティ」は766万円。補助金を含めても550万円ほどでしょう。
コスト削減については、執行役員の三部敏宏さんは、席上「まだまだコストダウンしなければいけない。米GMと2020年に向けて技術的な共同開発を行っています。ホンダだけでは十分なコストダウンはできない」と語りました。
「ホンダは、2030年をメドに、四輪商品ラインナップにおける販売数の3分の2を、FCV、バッテリーEVなどのゼロエミッションビークルと、プラグインハイブリッド、ハイブリッドに置き換えることを目指していきます」
と、八郷さんはホンダのゼロエミッションプログラムについて語りました。
内訳については、HVとPHVで50%、EVとFCVが各15%ずつというイメージだと説明しました。

ホンダは、FCVの本格普及を、2025年ごろと見ているようですね。東京オリンピックは、2020年です。それまでに、日本では、どこまで水素社会を実現することができるのか。残された時間は、長くはありませんよね。

さしあたって、今年5月には、G7伊勢志摩サミットが開催されます。これが、現段階の日本の自動車メーカーのFCVや自動運転のお披露目の場になるでしょうね。

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