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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

シャープ、東芝の家電の行方は?

東芝が、白物家電事業を中国家電大手の美的集団に売却する方向のようです。シャープは台湾の鴻海精密工業傘下に入る方向です。

東芝の白物家電事業は、数百億円規模とみられています。
シャープは7000億円規模です。

現象だけを見るならば、資本力のある企業の傘下に入るわけですから、肯定的に見ることができるでしょう。しかし、大きな企業の傘下に入ったからといって、必ずしも、その先の経営がうまくいくとは限らないのは、断わるまでもありません。

例えばシャープは鴻海傘下に入りますが、現状、経営には行き詰っています。“身売り”することで、お金の心配はしなくてよくなりますが、当面、現日本人経営者は変わらないといわれていますよね。
それから、液晶パネルの厳しい市場環境も変わりません。ということは、この先、成功する保証はどこにもないということですね。

実際、鴻海のテリー・ゴウ会長の手腕が、日本企業の経営にどこまで通用するのかも不透明ですね。
しかも、外国資本となったのち、従業員のモチベーションは、果たしてあがるのか。収入が増えればモチベーションも高まるでしょうが、厳しい経営環境下で収入が上がるとも考えにくいですわね。

となると、日本の家電は、この先、どうなっていくのでしょうか。ただ、悲観論ばかりではありません。
のぞみがあるとすれば、“IT家電”“ロボット家電”を開発できるかどうかでしょう。つまり、AIやIoT(モノのインターネット)、ロボットなどを活用した家電です。家電の高付加価値化ですね。
IoTが普及すれば、近い将来、家電の買い替えが起きる可能性も考えられます。

例えば、シャープにはその実績があります。「ともだち家電」として、AIやIoTを使い、消費期限の迫った食品を教えてくれる冷蔵庫や、食材から料理を提案してくれるウォーターオーブン、天気や湿度を教えてくれる空気清浄器などを販売しています。専用のアプリをスマートフォンにダウンロードするなどして使います。
現に、シャープを軸に日本の家電の再編を目指した産業革新機構は、シャープと東芝の白物家電事業統合を打ち出していました。“IT家電”の分野において成長を目指す構想を描いていましたね。

考えてみれば、中国・台湾企業による日本の家電の買収といえば、少し古くなりますが、中国ハイアールは、三洋電機の白物家電事業を買収し「AQUA」ブランドを継承しました。
中国企業によって、長年の懸案だった日本家電の再編が進んでいるわけですが、問題は、再編のかたちではありません。

資本がどこであっても、新しい技術を開発し、事業を成功させ、経営を立て直す。そして、社員をハッピーにしていくことはできるのかどうか。これが、成功を測るバロメーターになるのではないかと思います。さすれば、付加価値の高い新商品の開発も、夢ではないですからね。
本当に注目しなければいけないのは、これから先ですね。

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