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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

パナソニックの進化するまちづくり

いまや、まちづくりは様変わりしました。昔であれば、デベロッパーが手掛けたものですが、今日、電機メーカーがプレーヤーになる時代です。

パナソニックは、28日、Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン(Tsunashima SST)のまちづくり構想を発表しました。
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※Tsunashima SSTの説明をするパナソニック社長の津賀一宏さん

パナソニックが工場跡地に「スマートタウン」をつくる構想は、14年11月にまちびらきをしたFujisawa サスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)に次いで2か所目です。

Fujisawa SSTについては、以前にも書いたことがありますが、旧松下電器の藤沢工場跡地です。今回の綱島は、11年に閉鎖した携帯電話工場の跡地です。
綱島駅周辺は、2018年度に相鉄線と東急線、19年度に相鉄線とJR線が相互直通運転を開始する予定で、都心へのアクセスもさらによくなるんですね。

そもそも、パナソニックは、2011年に住宅部門に強みをもつ松下電工を100%子会社にしました。したがって、まちづくりは、まったくのシロウトとはいえませんよね。

Tsunashima SSTには、ユニーが手掛ける大型商業施設、パナソニックのスマートタウンマネジメント施設、東京ガスのタウンエネルギーセンター、野村不動産とMID都市開発のスマート集合住宅、アップルのスマート技術開発施設、日吉にキャンパスをもつ慶應義塾大学の国際学生寮、JXエネルギーの水素ステーションなどが設置されます。これだけの顔ぶれを見ただけでも、これまでのデベロッパーのまちづくりとは違うことがわかりますね。
まさに、産学官の連携した“未来都市”なんですね。

まちびらきを予定する18年度には、CO2排出量を、同等の規模の都市を05年度につくった場合と比べて40%削減するほか、生活用水使用量を同30%削減、太陽光エネルギー、天然ガスコージェネレーション、燃料電池などの新エネルギー等利用率を30%以上とする目標を掲げます。

藤沢と綱島の二つのスマートタウンの違いについて、パナソニック社長の津賀一宏さんは、こう語りました。
「“持続的に進化し続ける”というコンセプトは同じですが、都市型のスマートシティへの挑戦という点が異なります」
Fujisawa SSTは、戸建て住宅の多い郊外型のスマートタウンですが、Tsunashima SSTの住宅は集合住宅のみ。また、大型商業施設や企業の技術開発施設を備える点からしても、“都市型”といえますね。

私は、2013年に『「スマート革命」で成長する日本経済』(PHP研究所)を上梓しました。
その取材のなかで、パナソニックは、「三度稼ぐ」という話を聞きました。つまり、①家電や太陽光発電システムなどを販売したとき。②それらの商品を複数そろえ、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)などでつなぐとき。③メンテナンスや関連サービスの提供です。これによって、長期的に安定した収益をあげることができるんですね。

パナソニックは、スマートタウン構想に向けた多くの技術を抱えています。しかし、断るまでもなく、まち全体のインフラやシステムを、一社ですべて抱え込むことはできません。
求められるのは、原則としてオープンイノベーションですよね。
Fujisawa SST、Tsunashima SSTは、それこそオープンイノベーションの土台となって、新しい町づくりが進められていくのではないでしょうか。

 

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