ソニーとパナソニックは4月28日、2016年3月期の連結決算を発表しました。
ソニーは売上高が前年同期比1.3%減の8兆1057億円、営業利益は同4.2倍の2942億円、税引き前利益は同7.6倍の3045億円です。
好決算を牽引したのは、エレクトロニクス部門です。高画質の「4Kテレビ」、高価格の一眼レフカメラが順調に推移しました。
「エレクトロニクス部門の営業黒字は5年ぶりです。背景にあるのはソニーのブランド、商品が元気になってきたという点です」
とは、副社長兼CFOの吉田憲一郎さんのコメントです。
ゲームのPS事業も順調です。一部では、「プレステ5」開発の噂も飛び交っています。「海外のブログには今年、新型のPSを発売するのでは書かれています」という記者からの質問に対して、吉田さんは、「コメントは差し控える」としたものの、明確に否定はしませんでしたよね。
逆に、成長が期待されてきたイメージセンサーをはじめとするデバイス部門は振るいません。デバイス部門の営業損益は286億円の赤字に転落しました。背景にあるのは、スマートフォン市場の成長鈍化ですね。
「スマホは低成長のステージに入っており、その前提で事業を組み立てていきます」
と、吉田さんは、述べました。
実際、いまやスマホは成熟市場にあります。これまでのように爆発的な成長は期待できませんね。
スマホ頼みからの脱却は、かねてからいわれてきました。ソニーも車載向けへの移行に着々と布石を打っていますが、いまのところ結果を出すところまではいっていません。
これに対し、パナソニックは、売上高が前年比2.1%減の7兆5537億円、営業利益は8.8%増の4157億円、税引き前利益は19.0%増の2170億円です。
「売上高は減少したものの、収益体質の貢献により増益となりました」
とは、専務の河井英明さんのコメントです。
テレビ事業の売上高は前年比22%減の3508億円と減収でしたが、営業利益は162億円増の13億円の黒字で、8年ぶりに黒字化しました。
白物家電は、好調なんですね。
「日本では、細かくセグメントをしぼりこんだプレミアム戦略を推進しています。美容、健康関連、30代をターゲットとしたふだんプレミアム、50代、60代をターゲットとしたJコンセプトを展開しています。また、アジアでは、プレミアムゾーンからボリュームゾーンまでラインナップを拡充していきます」
そう総括したのは、社長の津賀一宏さんです。
また、国際財務報告基準(IFRS)への移行により、17年度3月期の連結業績は、売上高7兆6000億円、営業利益3100億円で、米国会計基準で読み直すと、実質減収、営業減益となる見通しを発表しました。
「成長に向けた足場固めを行うことで、2018年度には、増収増益の実現、定着を目指します」
と、河井さんは決意を述べました。
ソニーにしても、パナにしても、一定の成果は出ましたが、中国市場の減速、円高の進行、新興国の成長鈍化など、世界経済は厳しい状況にあります。気を引き締めてかからなければいけないのはいうまでもありませんよね。