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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日産、三菱提携「沈黙は金なり」

「沈黙は金」。日産は、「沈黙」で大きなチャンスを手にしたと思います。それはいったい、どういうことでしょうか。

三菱自動車の燃費データ不正問題が、日産からの指摘で明るみに出たのは、4月21日です。発覚からわずか3週間。電撃的な資本業務提携へと発展しました。
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この間、日産が三菱自動車との軽自動車分野での提携解消を進めているのではないかなど、さまざまな憶測が飛び交いました。つまり、日産は、燃費の不正をめぐっても、三菱自動車を批判する言葉を語りませんでした。文字通り、不自然なほど「沈黙」を守りました。正直、何かあると思っていました。

今回の資本提携劇は、いってみれば、標的に狙いを定め、「えいや」とばかりに矢を放つように、獲物を射止めた印象です。ゴーンさんの凄腕を見せつけられましたよね。

12日、各紙は朝刊でいきなり「三菱自動車、日産の傘下に」という記事をトップ掲載しました。これだけ大物同士の提携にもかかわらず、この3週間、日産は水面下でコトを進めていながら、実際、何の報道もありませんでしたからね。

日産社長のカルロス・ゴーンさんは、記者会見でいみじくもいったものです。
「正直、うまくいきました。リークがあったのは、昨夜です。透明性を確保することができました」

結果、日産自動車と三菱自動車は12日、資本業務提携に向けて協議・検討することで基本合意したことを、スンナリと発表することができました。日産は、三菱自動車が行う第三者割り当て増資を引き受ける形で株式の34%を取得、筆頭株主になります。

燃費データ不正問題で存続が危ぶまれた三菱自動車は、日産の傘下で経営の再建を目指すことになったわけですね。

「日産の支援のもと、三菱自動車は信頼を回復し、新たなビジネスチャンスをつかむことができるでしょう」と、ゴーンさんは、記者会見の席上、述べました。

三菱自動車としては、救済の道筋がついたわけですが、日産にしてみれば、三菱自動車以上に、大きなチャンスがころがりこんできたわけですよね。

ゴーンさんは、もともと中期経営計画の最終年度である16年度に、グループ全体の販売台数1000万台を目標に掲げていました。

日産とルノー、三菱自動車を合わせると、世界販売台数は950万台を超え、トヨタ自動車やフォルクスワーゲン、GMの“3強”に迫る規模になります。1000万台の足がかりをつかんだんですね。

「三菱自動車との提携によって、いい仕事をすれば、トップ3に入るポテンシャルを持つことになります」
というのは、ゴーンさんのコメントです。

「沈黙は金」といいますが、日産が今回、大きなチャンスをつかむことができたのは、「沈黙」を守ったからにほかなりません。

いっさい雑音が入らずに、世紀の資本提携劇は幕を開けることができた。問題は、幕が開いたあとのドラマがどう進行していくのか。注目せざるを得ませんね。

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