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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ホンダのタカタ製エアバッグ問題の行方

自動車メーカーは、円安のおかげで16年3月期の決算において、軒並み営業利益を増加させました。そのなかで、営業利益を減らしたメーカーが1社あります。ホンダです。なぜでしょうか。

ホンダは13日、2016年3月期連結決算において、営業利益が前期比25%減の5033億円だったと発表しました。タカタ製エアバッグ問題をめぐるリコール費用が収益を圧迫しているためなんですね。
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ホンダに利益を押し上げる好材料がないわけではありません。北米における主力車種のフルモデルチェンジ、各地域におけるHR‐Vの投入による利益増など、新車販売自体は好調です。

実際、米国では四輪の販売台数が初の160万台超え、中国では四輪の販売台数が初の100万台超えを達成しました。

ところが、そうした本業が生み出した好材料は、タカタ製エアバッグ問題をめぐるリコール費用の計上によって、すべて打ち消されてしまったんですね。

そもそも、4月28日の決算発表を今回、5月13日に変更するという異例の事態を招いたのも、タカタ製エアバッグ問題をめぐるリコール費用の問題があったからです。

「エアバッグ問題、熊本大地震による影響を精査するため、決算発表が遅れたことをお詫び申し上げます」
決算記者会見の冒頭、副社長の岩村哲夫さんは述べました。

リコール拡大にともない、各社が対応を迫られるなか、なぜ、ホンダだけが決算発表を予定通り、行えなかったのか。ホンダはタカタ製エアバッグの搭載率が50%以上ともっとも多く、影響も大きくならざるを得ないからです。

ホンダは、品質関連費用に含まれるエアバッグインフレーターに関連する製品保証引当金繰入額として、2014年度に約1200億円、2015年度に約4360億円を引き当てました。

「ノンデシカント(火薬の劣化を防ぐ乾燥剤を入れていない)タイプのエアバッグについては、関連する費用のすべてを、前期決算に織り込みました」
と、岩村さんは説明しました。

ホンダは2008年11月、タカタ製エアバッグに関する最初のリコールを発表して以来、事故の度に、追加リコールを繰り返してきました。

ということは、これでリコール費用の計上にも決着がついたということでしょうかね。ホンダはやっと、エアバッグ問題の重荷から解放されたということですね。

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