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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

トヨタは“三つの意志”を貫けるか

トヨタは今日、第1四半期決算を発表しました。
為替変動の影響がマイナス2350億円。原価改善や営業努力で上積みするも、今四半期の営業利益は前年同期比1137億円のマイナスです。
通期の営業利益の見通しは1000億円下方修正し、1兆6000億円としました。
もっとも、グループ総販売台数は1015万台と、期首見通しを据え置いています。

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※質問に答える常務役員の大竹哲也さん

振り返れば、今年5月11日の15年度連結決算発表会の席上、社長の豊田章男さんは、「今年に入って大きく潮目が変わった」として、次のように話しました。
「これまで数年間の決算は、いわば為替による“追い風参考記録”の部分が多かったんじゃないかなというふうに思っています。その風が止んだことで、自分たちの等身大の姿が見えてきたのではないか」

実際、追い風が止み、むしろ向かい風になっている。
6月末の“Brexit”の影響から、為替は大きく円高に振れました。4月の熊本地震、5月のアイシングループの火災の影響で、生産は8万台減、販売は6万台減、計700億円の減益要因となったといいます。いわば“3重苦”ですよね。
グローバルでビジネスを展開する以上、さまざまなリスク要因がありますが、まあ、今回の下方修正は、トヨタにとっては想定内だったのではないでしょうかね。

今日の会見では、常務役員の大竹哲也さんは、席上、「5月に社長の豊田が申し上げました通り、三つの意志をぶれずにしっかりとやっていきたい」と話しました。
三つの意志とは、「もっといいクルマづくりを着実に進める」「未来への挑戦として、自動車事業と、その枠に収まらない領域に種を蒔いていく」「強靭な財務基盤を構築する」です。

トヨタに限らず自動車業界は、いま、自動運転に加え、燃料電池やPHV(プラグインハイブリッド車)など環境対応車の開発に取り組んでいます。加えて、トヨタはTRI(トヨタ・リサーチ・インスティチュート)などでAIやロボティクスにも挑戦している。これらは、「潮目が変わった」からといって投資を抑えていたのでは、決してモノにならない分野です。長い目で育てていかなくてはいけない。

その意味で、やはり、豊田さんが5月にいった通り、今年は「意志が本物かどうかが試される年」なのでしょう。円高局面が続くことも予想されるなかで、トヨタの本気度が問われています。

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