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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ホンダ、熊本地震から完全復活

4月14日に発生した熊本地震から、今日で5カ月です。いまも、熊本上空から町を見下ろすと、屋根にブルーシートをかけた家がたくさん見え、避難所には500人以上が暮らしています。熊本はいまだ復興の途上です。

そのなかで、ホンダは昨日、熊本製作所の一日当たりの生産台数は震災前の水準まで回復したと発表しました。
熊本製作所は、ホンダの国内唯一の二輪完成車工場です。汎用製品や四輪のエンジン部品の一部も生産しています。熊本地震後、すべてのラインが停止しましたが、5月以降順次復旧し、9月5日にすべてのラインが稼働。昨日をもって完全復旧しました。

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※熊本製作所で挨拶するホンダ社長の八郷隆弘さん

昨日、熊本製作所で行われた会見の席上、ホンダ社長の八郷隆弘さんは、「震災直後に訪れたときには、思った以上に被害は深刻だという印象を受けたが、地元の方の早期普及に向けた期待が支えになった。『大津町の元気にはホンダの工場が稼働することだ』といっていただいた。ホンダは地元の皆様とともにある」と話しました。

熊本地震による被害総額は約251億円、17年3月期、20万台を計画していた熊本製作所の二輪生産台数は、現段階で17万5000台といいます。一割以上の減少ですが、ホンダは昨年、世界で1700万台以上の二輪車を販売していますから、2万5000台分の業績への影響は、大きくはありません。

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※各製作所から届いた応援メッセージが並ぶ
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※完全復旧した二輪組立ラインが公開された

しかし、熊本製作所が元気である意味は大きい。
というのも、地方工場の地元に果たす役割は、計り知れないものがあるからです。

会見では、熊本県知事の蒲島郁夫さん、大津町長の家入勲さんも挨拶しました。
熊本製作所の設立は、40年前の1976年です。当時約1万8000人だった大津町の人口は、いまや3万4200人にまで増えているといいます。大津町には工業団地がありますが、ホンダをはじめ、企業と共に発展してきた町なんですね。

震災直後から、ホンダは、体育館を避難所として貸し出したほか、独身寮跡地を仮設住宅建設地として提供。さらに、義援金や救援物資提供、炊き出し、家屋片付けのボランティア、EV(電気自動車)、原付、軽自動車の貸し出しや提供などを行いました。

東日本大震災の被災地復興や地方創生にも通じることですが、復興やまちづくりに企業の果たす役割は大きい。工場が動かなければ、従業員には仕事がなく、税収もなく、町は元気にならない。一方、町に住む従業員やサプライヤーなしに、工場の復旧はありません。

熊本製作所の完全復旧が、被災地を勇気づけるニュースなのは間違いありません。

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