2020年7月の東京オリンピック・パラリンピック開幕まで、あと4年。果たして、日本はリオを超える新鮮な驚きを世界に与えることができるでしょうか。
「もう一つのオリンピック」と呼ばれることからもわかるように、パラリンピックは今日、独自の地位を獲得し、世界最高峰の障害者スポーツ大会へと発展し続けています。
回を重ねるごとに選手層は厚くなり、大会レベルも高まっています。ドイツのマルクス・レーム選手は、走り幅跳びで8メートル21センチという記録で優勝しましたよね。
4年後、東京で開催されるパラリンピックには、どんな驚きが待っているのか。
「『ポジティブ・スイッチ』を力強く押して、障害がある人もない人も、尊重し合いながら刺激し合う社会を実現したいと考えています」
と、小池百合子東京都知事は語りました。
「ポジティブ・スイッチ」には、障害があることが、世界に前向きな変革をもたらすという意味が込められています。
パラリンピックに向けてインフラが整備されれば、障害のある人が積極的に社会に参加できるようなバリアフリー社会を実現できるでしょう。障害のある人たちだけでなく、高齢者の社会参加にも役立つはずです。
日本は、高度経済成長を経て安定成長期を迎え、成熟社会に到達しようとしています。成熟社会というからには、高齢者や障害のある人たちだけでなく、言語や国籍を超えて、あらゆる人たちが生き生きと活躍できるような社会でなければいけません。
ただし、いまの日本に成熟社会にふさわしい社会インフラが整っているかというと疑問ですよね。現に、日本は海外の先進国に比べて、まだまだバリアフリー化が遅れているといわれます。
交通機関のバリアフリー化や施設の充実だけでなく、人々の意識も変えていく必要がありますね。いわゆる心のバリアフリーです。
日本のバリアフリー化の遅れは、障害者に対するものだけではありません。言葉のバリアフリーに対しても取り組む必要があります。外国人旅行者に日本滞在を楽しんでもらうためには、言葉で不便を感じさせない工夫が求められます。
政府は、20年に向けて、スペイン語など9か国語と日本語との自動翻訳技術を開発する方針で、パナソニックやNTTなどが自動音声翻訳技術の精度向上に取り組んでいます。
4年後、東京を訪れた人たちをアッといわせることができるかどうか。成熟都市のあるべき姿を世界に示すことができるかどうか。
「成熟した都市とはこういうものなのか」「これが成熟した社会なのか」と世界が驚きの声を上げるような社会をつくりあげることが、2020年に向けての日本の課題といえるでしょう。試金石ですよね。