日産自動車は今日、横須賀市にある追浜工場で「ノート e‐POWER」のオフライン式を行いました。これは、いったい何を意味するのでしょうか。
「ノート」はもともと、輸出向けモデルを多く生産する九州工場で生産していましたが、フル稼働状態のため、一部改良を機に、追浜工場に移管しました。「e-POWER」とは、日産の新しいハイブリッドシステムの名称なんですね。
※オフライン式で声をあげるCEOのカルロス・ゴーンさん(前列右から2人目)
ポイントを二つ指摘してみましょう。
まず、「ノート e‐POWER」は、低迷が続く国内市場の起爆剤となるかどうか。
「ノート e‐POWER」は、セグメント最高となる37.2km/ℓ(JC08モード)の燃費を誇るといいます。式典で、日産CEOのカルロス・ゴーンさんは、約1000人の従業員を前に、日本語で挨拶をしました。
「ここ追浜で6年前に量産をはじめた『日産リーフ』は、いまや世界でもっとも売れているEVとなりました。『ノート』は軽快な走りと燃費効率を実現する革新的な新技術『e-POWAR』を搭載することで、国内販売に大きく寄与することでしょう」
報道されているように、日産は先だって、三菱自動車を買収しましたよね。
ゴーンさんは三菱自動車の会長に就任する予定で、日産は、ゴーンさんと西川廣人さんのダブルCEO体制になる予定です。
ゴーンさんは、それだけ三菱自動車の再建に注力したいということでしょうが、そのためにも、“足場固め”は欠かせません。「ノート e‐POWER」に期待がかかります。
もう一つは、日産の環境技術戦略の行方です。
力を入れてきたEVではなく、ハイブリッド車を投入することについて、囲み取材の席で、ゴーンさんは、記者の質問に答えて、次のように話しました。
「環境技術戦略は、さまざまあります。日産はEVに力を入れていますが、プラグインハイブリッドをやらないわけではありません。アライアンスによって“面積”と“台数”があれば、さまざまな技術で戦える。1000万台あれば、すべての技術で戦えるということなんです。電気自動車、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、クリーンディーゼル、内燃機関のダウンサイジング、ターボなどなど、全部ができるようになる。それだけ“面積”があるからです」
ルノー・日産アライアンスは、日産の三菱自動車買収によって、世界販売台数1000万台を射程距離にとらえましたが、それを踏まえた発言ですよね。
アライアンスによるシナジー効果について、日産は、購買、開発、プラットホームや先行技術の採用などをあげています。環境技術に対しても、規模があれば可能性を広げられるということですよね。
三菱自動車の改革、さらにルノー・日産アライアンスで世界販売台数1000万台を達成するために、国内市場で安定して稼ぐことが必要です。
その意味で、「ノートe-POWER」は、日産の今後を占う試金石となるでしょうね。