一般道より先に、工場敷地内の無人運転の実現です。どういうことか。
日産自動車は、追浜工場に「インテリジェント・ビークル・トーイング」を導入したと発表しました。完成車を、専用埠頭まで無人で搬送するシステムです。
もっとも、同システムは、昨年6月から、すでに1年半に渡って試験走行などを行ってきました。1700往復の実績があり、多くのデータを蓄積してきています。
自動運転機能つきのEV(電気自動車)「日産リーフ」をベースとした牽引車が、台車に最大3台を載せて無人走行するシステムです。
一般車や人も歩く敷地内の片道1.4kmを、最大時速30kmで無人で走行します。
敷地内の決められたルートとはいえ、運転席に誰も乗っていないクルマが走行する様子は、近未来的な印象を受けましたね。
※無人走行する「リーフ」ベースの牽引車(先頭)
無人牽引車は、あらかじめ取り込まれた高精度地図上の搬送経路を、白線や縁石を検知し、自車の位置を正しく把握しながら走行します。構内は、一般車は無人牽引車を優先するルールがあるほか、複数台を同時に管理できる管制システム、無線停止スイッチなどのインフラが整備されています。
通常、完成車の搬入は、一台ずつドライバーが運転して運びます。無人搬送なら、ドライバーの数が少なくて済むことに加え、CO2も削減できる。
日産では、19年には国内の工場に始まり、海外の工場、さらに、将来的にはアライアンスを組むルノーの工場などへもシステムを導入する予定です。
現在、追浜工場では、1シフトで約500台の自動車が生産されています。すべてを無人牽引車で運ぶ場合、7台の牽引車が、それぞれ26往復する必要がある。1台約1.5トンのクルマ3台を牽引するため、電池の消費も激しい。
したがって、荷物の載降時と昼の休憩時に急速充電し、8時間のシフト中の連続運転をなんとか実現しているんですね。
現在、稼働している牽引車は2台ですが、7台となると、コストもかかります。また、搬送は無人でも、台車への載降にはドライバーが必要です。そんなわけで、まだまだ課題があるんですね。
しかし、決められたコースを走行する無人走行車は、物流システムにおいて将来が有望視されています。自動車工場に限らず、さまざまな場面に応用も可能でしょうからね。
今回の日産の試みは、一般道における自動運転レベル4、完全自動運転車の実現に向けて、またまた一歩前進したということですよね。