トヨタ自動車は7日、新たなモビリティサービスのアイデアを社外から公募し、新サービスを共同開発する取り組み「TOYOTA NEXT」を始めると発表しました。
クルマの知能化、情報化など、テクノロジーの進化は、クルマのあり方を一新させます。トヨタといえども、それに対応するのは容易ではない。新時代に適した自動車メーカーに生まれ変わるには、社外の力が不可欠だということです。
「これまでのサービスは、世の中の変化に柔軟に対応できているとはいえませんでした」
国内販売を担当するトヨタ常務役員の村上秀一さんは、記者会見の席上、そう語りました。
そこでトヨタは、“オープンイノベーション”を打ち出しました。その方法として、公募システムを取り入れることにしたんですね。
自動車産業はいま、グーグルなど異業種メーカーの参戦を受けて、大きな試練に立たされています。変わりつつあるモビリティ社会において、新たなビジネス領域にのぞむためには、企業の枠を飛び越えて、社外と協業していくことが求められます。
公募のテーマは、安全・安心サービス、トヨタ販売店でのディーラーサービス、車の利用促進、オーナーのロイヤリティを高める愛車化サービス、トヨタの保有するデータを活用したONEtoONEサービスなどです。
トヨタには、ネットワークに常時接続する「コネクテッドカー」から得られる膨大なデータのほか、全国約5200店舗のディーラーネットワークがもつ、顧客データなど、さまざまな資産があります。いってみれば、宝の山です。
一方で、「TOYOTA NEXT」への参加が想定されるスタートアップ企業の多くは、アイデアはあるけれども、十分な資産をもっていません。
その意味で、「TOYOTA NEXT」は、大企業とスタートアップ企業が、コラボレーションによってどれだけの可能性をきりひらくことができるかの試金石といえるでしょう。
トヨタは寄せられたテーマを選定後、2017年8月以降に新サービスを展開する計画です。選考するのは、トヨタ専務役員の友山茂樹さん、常務役員の佐藤康彦さん、常務役員の村上秀一さん、クリエイティブ・ディレクターのレイ・イナモトさん、デジタルガレージの佐々木智也さんです。
トヨタに限ったことではありませんが、大企業とスタートアップ企業とでは、カルチャーはもとより、リスクの取り方やビジネススピードが大きく異なります。両者はいかに連携を図り、協働作業を進めていくのか。
自前主義からの脱却、そして社外との連携は、トヨタに限らず、日本企業の生き残りのカギを握っているといっていいでしょう。