2016年の訪日外国人旅行者の数が発表されましたね。
15年比21.8%増の2403万9000人です。
ご存じのように、政府は観光立国を掲げ、昨年、外国人旅行者数の目標を大幅に引き上げました。2020年に4000万人、2030年に6000万人を目指すとしています。
政府の旗振りの成果もあって、外国人旅行者は、順調に増えているように見えます。
しかし、昨年は、道を歩いていても外国人旅行者が増えたことを如実に感じましたが、それでも、2403万人。さしあたって目指すべきは20年の4000万人ですが、昨年の1.6倍強ですから、実現は本当にハードルが高いんですね。ましてや6000万人は、同約2.5倍です。
紙面やテレビで、インバウンドや観光立国関連の報道が毎日のように流れていましたが、ここのところ、そういった報道は少し減ったように思います。しかし、インバウンド目標達成に向けた闘いの本番は、むしろこれからなんですよね。
昨年、初代観光庁長官で首都大学東京特任教授の本保芳明さんにインタビューする機会がありました。印象的だったのは、「残念ながら、オリンピックイヤーだからといって、外国人旅行者数が増加するわけではありません」と断言されたことですね。
単純な話で、オリンピック・パラリンピックの開催地は非常に混雑しますし、ホテルの料金が高騰する。オリンピック観戦を目的としない、一般の旅行者が訪問を避けるのは当たり前です。
ただし、オリンピック・パラリンピックの開催は、国力を世界に向けてアピールするための絶好の機会なのは間違いない。大切なのは、空港から都心へのアクセス整備、出入国管理手続きの迅速化など、今後のオリンピックに向けたさまざまな取り組みと成果を、〝レガシー〟とし、30年に6000万人の土台とすることです。
まだまだ油断する余裕はとてもありません。できる努力を、地道に積み重ねていくほかありませんね。