Loading...

経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日産の小型商用車事業戦略の狙い

やや旧聞に値しますが、2月26日、日産は小型商用車(LCV)事業の取り組みに関するラウンドテーブルを横浜のグローバル本社で行いました。


※アライアンスSVPのアシュワニ・グプタさん

ラウンドテーブルの冒頭、ルノー・日産自動車・三菱自動車アライアンスSVPで、LCV事業部門を統括するアシュワニ・グプタさんは、次のように語りました。
「(世界の)LCV市場の現状を見ると、トータルで約1650万台です。つまり、5台のうち1台が小型商用車であるということです。これは、マーケットにおいて世界的に需要が高いということ、また、日産においての重要性も示しています」

ルノー・日産・三菱アライアンスは、昨年9月に中期経営計画「アライアンス2022」を発表しました。計画終了時の年間販売台数は1400万台以上になるとした、あの計画ですよね。

「LCV事業部門」は、昨年4月に新設されました。その役割は、統合したビジネスユニットのもと、ルノーの商用バンの専門知識や、日産のトラックの生産・販売ノウハウ、さらに三菱自動車の潜在能力を引き出して、グローバルのLCV市場におけるリーダーシップを拡大することです。

日産は、22年に向けて、LCV事業について3つの目標を打ち出しました。1つ目は、販売台数を16年度対比でプラス40%の120万台に引き上げること。2つ目は、営業利益率8%以上を稼ぎ出すこと。そして3つ目は、“フレーム車”と呼ばれる領域において、リーディングプレーヤーになることです。

日産の小型商用車のラインナップは、「ナバラ」、「タイタン」といったピックアップトラック、「NV200タクシー」や「NV350キャラバン」のようなバン、「NT400キャブスター」のようなライトデューティートラック(LDT)とマイクロバス「シビリアン」などで構成されています。

これらに加え、ピックアップトラック「ナバラ」のプラットフォームを活用したSUVを、“フレームSUV”として、アライアンス各社で共用する。これによって、強力なシナジーを生み出すねらいがあるんですね。

とくに日産は伝統的にフレーム車が強い。LCVに占めるフレーム車の販売比率を、現状の5割から3分の2まで高める考えです。

日産は、今春から、中国をはじめアジアで新型のフレームSUV「テラ」を投入し、拡販を図っていく方針です。また、自動運転技術や電動化、コネクティッドサービスなどをLCVにも展開し、ブランド力を強化します。

「アライアンス2022」の達成には、各ブランドの差別化とアライアンス効果の活用が必須なのは間違いありません。LCVでも、それは同じです。

日産は、2022年にLCV120万台を達成し、アライアンス1400万台達成の一助となることができるでしょうか。

ページトップへ