パナソニックとパナソニックシステムソリューションズジャパン、東京電力パワーグリッド、東電タウンプランニングの4社は、港区の協力を得て、JR田町駅東口駅前で、配電地上機器を活用したデジタルサイネージ(電子看板)「ストリートサイネージ」の実証実験を行っています。
※JR田町駅東口駅前に設置されたデジタルサイネージ(4月4日)
パナソニックと、東京電力パワーグリッド、東電タウンマネジメントは、2017年5月から、配電地上機器を活用したデジタルサイネージによる情報配信等を共同で企画・開発してきました。実証実験は既に上野恩寵公園内で実施中ですが、歩道上で行うのは、国内でこれが初めての試みです。
そもそも、配電地上機器とは何か。東京都は、14年12月に策定した「東京都無電柱化推進計画」に基づき、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催までに、重点的に整備するエリアを定め、無電柱化を推進しています。
無電柱化、すなわち地中に電線を通すことによって、従来は、電柱に設置されていた変圧器や開閉器が、地上の箱に納めて設置されることになる。それが、配電地上機器です。
東京電力パワーグリッドは、サービスエリア内に約5万機の配電地上機器を持っているといいます。今後もその増加が見込まれており、活用方法を検討している。
一方のパナソニックは、まちづくりの一環として、デジタルサイネージなどを活用した情報配信について、技術開発やサービス展開を推進しているんですね。
何もないところにデジタルサイネージを設置しようとすると、道路を掘削するなど手間がかかるうえ設置スペースも限られる。
その点、配電地上機器の上なら、設置は簡単、電源確保も容易です。つまり、配電地上機器の好立地をいかし、機器上部にデジタルサイネージを設置して情報を配信すれば、東電にとってもパナソニックにとってもありがたい、一石二鳥の試みなんですね。
実証実験は、今年4月4日から約1年間、配電地上機器上部に「ストリートサイネージ」を設置し、港区の区政に関する情報や広報番組、地域イベント等を配信し、緊急災害時には、日本語、英語、中国語、韓国語の4か国語で警報や注意情報をリアルタイムに発信します。
画面の下には、効果測定用のセンサーが設置されています。デジタルサイネージを見た歩行者の性別、概ねの年齢、視聴時間をセンサーで収拾し、効果測定します。情報発信の効果検証や配信システムの検証などを行って有効活用するためです。数か月単位でレビューを行い、課題や、コンテンツの種類などを見極め、デジタルサイネージの運用に役立てていくといいます。
デジタルサイネージ市場は、訪日外国人の増加や東京五輪の開催を背景に観光用途などでの需要拡大が見込まれています。
五輪後を考えても、多言語の地図表示や、観光情報、広告など、さまざまな活用方法が考えられますよね。実際、今回の「ストリートサイネージ」も、デジタルサイネージの下にタブレットを搭載し、地図を表示してデジタルサイネージとの連携を図るなどの検討が行われているそうです。
普及するかどうかは、歩行者や観光客に求められる情報、コンテンツを配信できるかどうかでしょうかね。