三菱自動車の業績が好調です。にもかかわらず、CFOの池谷光司氏が「安心できない」というのは、大きく3つの理由があるからなんですね。
※三菱自動車の池谷光司副社長執行役員CFO
三菱自動車が24日に発表した、2018年4月~6月期の連結決算は、売上高が前年同期比27%増の5600億円、営業利益が同36%増の281億円でした。売上高営業利益率は、同4.7%から5.0%に改善しました。
営業利益率が5.0%に改善したのは、中計開始以来、月次管理を徹底するPDCAサイクルが定着したことのほか、ルノー・日産アライアンスとの資材調達や物流の共通化によるコスト低減効果があります。
「第1四半期においては、35%前後がルノー・日産アライアンスとのシナジーによるものです」と、三菱自動車副社長、執行役員で財務経理担当CFOの池谷光司氏は、決算会見の席上、語りました。
また、販売は世界の全地域で好調、世界販売台数は2割増の29万2000台に伸びました。とくに主力市場のアセアン(東南アジア諸国連合)では、販売台数が前年同期比28%増の6万9000台。インドネシアではクロスオーバーMPV「エクスパンダ―」、タイではピックアップトラック「トライトン」が好調です。
また、中国では、現地生産の「アウトランダー」が売れ行きを伸ばし、販売台数は同5割増の3万6000台となりました。18年度中には、「エクリプスクロス」の現地生産をスタートさせる計画です。
しかし、世界販売2割増で増収増益にもかかわらず、「気を引き締めなければいけない」と池谷氏は語ります。なぜか。西日本豪雨の影響のほか、新興国の通貨安、激しさを増す貿易摩擦など不透明な要素があるからです。
「タイだけでなく、インドネシア、フィリピンでも生産を始めたことは、非常に大きな意味があります。現地生産比率を高めることと、現地調達率を高めることがリスクヘッジになると考えています」と、池谷氏はコメントしました。
いまのところ、三菱自動車の米国の販売台数比率は10%程度であることから、「大きな影響はない」(池谷氏)としていますが、「発動が起きた場合には、ルノー・日産アライアンスとの協議のなかで対応を考えたい」と語りました。
日本は年間170万台のクルマを米国に輸出しています。かりにも自動車に高関税がかけられれば影響は甚大です。
三菱自動車は、直近では影響は大きくないとしているものの、今後、どのような影響が出てくるかは予断を許しません。「気を引き締めていかなければならない」ことに変わりないでしょうね。