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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

〝4000万人の壁〟を乗りこえられるか

訪日外国人客数が年間3000万人に届こうとしています。日本政府観光局によると、1~6月の訪日客数は、前年同期比15.6%増の1589万8900人となり、上半期としてはじめて1500万人を突破しました。このペースで下半期も推移すれば、年間で3000万人を超えると見られています。

その後、東京オリンピックが開かれる2020年、すんなり4000万人を達成できるかどうか。というのも過去、開催国では、オリンピックが開かれる年は観光客が減少するのが通例だからです。オリンピックの混雑を避ける傾向があるんですね。たぶん、日本もそうなる可能性はなきにしもあらずです。

とはいえ、政府は、東京オリンピックが開催される2020年には訪日客数を4000万人の大台に乗せ、30年には訪日客を6000万人に増やす目標を定めています。

つまり、訪日客は3000万人までは延びるとして、間違いなく〝壁〟となるのは、4000万人超えです。

〝4000万人の壁〟を乗りこえるには、これまでとは異なる視点で知恵をしぼっていく必要があると思います。

例えば、法整備や規制緩和の検討、環境整備支援、訪日プロモーションなどです。

規制はこれまで、国民の安全を守るものとして機能してきましたが、規制の中だけで観光ビジネスを展開していては、〝観光後進国〟になりかねませんよね。

リピーターを増やすためにも、もっともっと法整備や規制緩和が必要です。

リピーターは、日本独自の“コト”に興味を持っています。日本の食や文化、歴史などの〝コト〟を堪能してもらうには、訪日客に気軽にストレスなく、地方を訪れてもらうことが欠かせません。それには、民泊の普及、配車サービスによる地方交通の拡充などが避けられない課題です。

また、訪日客の情報収集手段は、訪日前、訪日中ともにインターネットが主要媒体で、とくに、個人の口コミを重視する傾向があります。したがって、ビザ緩和実施国でのブロガーやSNSの活用をさらに推進していく必要があります。

〝4000万人の壁〟を乗りこえられるかどうか。それは、観光産業を国の基幹産業に発展させられるかどうかの試金石です。

世界から観光客を呼び込むには、海外のニーズを把握して環境を整備することが求められます。そうした取り組みを継続的に実行してこそ、観光立国への道が開けるのではないでしょうか。

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