レクサス新型「ES」には、従来のミラーの代わりに、カメラを装備した「電子ミラー」が搭載されています。この「電子ミラー」には、じつは、もう一つのストーリーがあるんですね。
※レクサス新型「ES」
トヨタ自動車は24日、レクサス「ES」の新モデルを発表しました。トピックは、従来のサイドミラーをカメラと車内のディスプレイに置き換えた「デジタルアウターミラー」の搭載です。
「デジタルアウターミラー」は、通常のミラーより画角が広く、死角を軽減するほか、夜間でも見えやすく、雨や霧でも水滴がつきにくいなどの特徴があります。量産車に採用されるのは、レクサス新型「ES」が世界で初めてです。オプション搭載で、価格は216,000円(消費税込み)です。
日本では2016年6月、従来のミラーの代わりにカメラを装備した「電子ミラー」への置き換えが解禁されました。じつは、「電子ミラー」解禁は、電機メーカーが車載事業に参入するチャンスでもあったんですね。
パナソニックは家電に代わる稼ぎ頭の一つとして、数年前から自動車関連事業に力を入れていますが、なかでも「電子ミラー」については、2014年にスペインの自動車部品メーカーのフィコサ・インターナショナルを連結子会社化し、開発を進めてきました。
パナソニックの狙いは、フィコサ社の持つミラー技術とパナソニックのカメラや液晶の技術を融合させた「電子インナーミラー」を自動車メーカーに納入し、「ティア1」より上の概念の「ティア0.5」になることでした。
つまり、パナソニックにとって、「電子ミラー」は、自動車メーカーに深く食い込むためのカギの一つといえます。
※「デジタルアウターミラー」
レクサス新型「ES」に採用されたのは、パナソニックのカメラとディスプレイです。
ただ、私が「おやっ」と思ったのは、ボディ左右に装備されたカメラで撮影された映像をフロントピラー部に設置されたディスプレイに表示する仕組みになっていたことです。
すでに、パナソニックは電子ミラーの情報をHUD(ヘッドアップディスプレイ)やフロントガラスに表示する次世代自動車用コックピットを開発しています。今回も、HUDやフロントガラスに情報が映し出されるのかと思ったのですが、そうではありませんでした。
おそらく、これから先、パナソニックがトヨタと開発を進めるなかで、いずれ、次世代コックピットの開発を進める話も出てくるのでしょう。つまり、これは、進化の過程ですね。
パナソニックにしてみれば、カメラとディスプレイの採用は初めの一歩であり、これを足掛かりに次世代コックピットにつなげていく狙いがあると見ていいのではないでしょうか。
いずれにしろ、パナソニックにとっては大きな前進です。いよいよ「ティア0.5」という壮大な目標が射程圏内に入ってきたといえるからです。
パナソニックが自動車関連事業に本格参入するにあたって、レクサス新型「ES」の存在は大きいといえます。