自動車メーカーの第2四半期決算の発表が続いていますが、マツダはどうでしょうか。
※マツダ常務執行役員の藤本哲也氏
マツダは10月31日、今期の業績見通しを下方修正すると発表しました。7月の豪雨の影響、為替の前提レートの見直し、品質関連費用増加のなどを受けて、通期の売上高を前回発表比200億円、営業利益は同350億円下方修正し、売上高3兆5300億円、営業利益700億円としました。
「豪雨などもあって、生産台数は減りましたが、出荷台数はグループ内在庫を活用したのでそこまで減っていません」と、常務執行役員の藤本哲也氏は会見の席上、述べました。
広島市と山口県防府市に工場を持つマツダは、豪雨発生後、操業を一時的に休止し、再開後も生産量を抑制せざるを得ない状況に追い込まれたんですね。
年間販売台数が約160万台のマツダにとって、ひとたび何かが起きれば、その影響はすぐに業績に響いてきます。規模が小さいからこそ、ダメージも大きくなります。1000万台を超えるトヨタとは違いますよね。
余力がないといってしまえばそれまでですが、規模が小さいことのメリットもあります。「30年7月豪雨」で、柔軟な対応をとることができたのは、その一例です。
「財務的には非常に大きなインパクトがありましたが、地域や社会、サプライヤーの皆さんと最適に協調し、ベストなバランスをとったリカバリーができたことはよかった。災害を機に、海外のパイプラインの在庫を使って、お客さま、販売店に迷惑をかけない形で対応できたこともよかった」と、取締役専務執行役員の古賀亮氏は述べました。
考えてみれば、マツダはこれまでも困難に直面するたびに、強くなっています。1960年代には、米国のマスキー法をロータリーエンジンの開発によってクリアしました。フォードとの提携関係に終止符が打たれ、自立での再生を余儀なくされたときは、「モノ造り革新」をスタートさせ、それは、現在のマツダのクルマづくりを支えています。
規模が小さいからこそ、マツダは、困難を全身で受け止め、変革の力に変えることができるんですね。規模の大きな会社は、なかなかそうはいかない。
「いまは足場固めの期間です。投資も重たいし、先のことに向けた種まきも行っている。道筋には自信を持っている」と、古賀氏は述べました。
マツダにとっていまは、「我慢のとき」といえそうです。着実な足場固めを経て、22年3月期以降の本格成長が期待されます。