単品売り切りのビジネスモデルを脱し、ソリューションビジネスに本腰を入れるためには、組織も変える必要があるということでしょう。
パナソニックのB2Bソリューション事業を担う社内カンパニー、CNS(コネクティッドソリューションズ)社は、来年1月1日付で、「現場プロセス本部」を設けます。
※CNS社社長の樋口泰行氏
CNS社は、製造、物流、小売りなどの「現場」に対し、ロボットやICTを使い、自動化を進めるソリューションビジネスを展開しています。
例えば、中国の火鍋チェーン向けには、ロボットやITを使い、バックヤードの配膳作業を自動化するプロジェクトがあります。すでに20件以上のプロジェクトが動いているといいます。
人手不足が深刻化するなかで、「現場」の自動化や効率化は、さまざまな場面で喫緊の課題です。パナソニックには、ビジネスチャンスなわけですね。
CNS社社長の樋口泰行さんは、パナソニックが現場プロセスイノベーションに取り組む理由として、過去、部品実装機を自社開発し、その実装機を生産設備として外販した例を挙げました。
「われわれが保有している技術、生産性向上の手立てを、お客さまにつかっていただく。これは、われわれのもつDNAです」
パナソニックが自社で培った効率化や自動化のノウハウは、他社にも生かせるというわけです。
現場のソリューションを実現しようとすれば、さまざまな技術要素が必要です。従来の縦割りの組織では、対応しづらかった。したがって、「現場部プロセス本部」に、知見やノウハウを集約し、プロジェクト型で臨機応変に対応できることに加え、コンサルから現場まで、一気通貫した体制を構築します。
現場プロセス分析、企画、システムインテグレーション、ロボット、設備IoTなど、各分野の専門家に加え、コンサルやプロジェクトマネージャーなど350人体制でスタートし、1~2年後には700人体制に拡大予定です。
さらに、事業を推進するために、「カスタマーエクスペリエンスセンター(CXC)」を、1月にオープンします。
※カスタマーエクスペリエンスセンターの技術紹介エリア
CXCは、顧客とCNS社内の専門家とがディスカッションを重ね、課題を共有して、ソリューションを「共創」する場となります。製造、物流、小売といった現場のニーズは、現場ごとに多様です。それらに細かく対応するための場ということですね。
脱・単品売り切りのビジネスモデルを構築できるか。「現場プロセス本部」の成否は、パナソニックにとって、今後の会社全体の方向性を占う試金石でもあります。