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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ユニクロの「エアリズム」を、真冬の日本で買えるのか

ファーストリテイリングが「情報製造小売業」に生まれ変わろうとしています。しかしながら、実際のところは、どうなのか。以下は、真冬にユニクロの「エアリズム」を買いにいった事務所のスタッフから聞いた話です。

すでに、ユニクロでは、2017秋に導入された「RFID(無線自動識別タグ)」による在庫管理によって、棚卸や在庫検索などの作業の簡略化が進められています。どこに、どの商品がいくつあるのかをリアルタイムで共有できます。

また、CEOの柳井正氏の肝いりで進められている「有明プロジェクト」では、デジタルを活用した情報分析による需要予測、工場との連携によるフレキシブルな生産体制などが実現されています。

まさしく、最新鋭のデジタル技術を駆使してビジネスが展開されているわけですが、肝心の消費者がその恩恵を受けているかというと、必ずしもそうとはいえないようなんですね。

この年末年始、事務所のスタッフが東南アジア在住の友人に頼まれて、ユニクロの「エアリズム」を買いにいったときの話です。

ご存じのように、吸水、吸湿、速乾をうたう「エアリズム」は夏の定番商品。訪れたユニクロの店舗には、当然ながら「エアリズム」は置いてなかったそうです。

店員に聞いてみると、すぐにスマートフォンを取り出して、親切に調べてくれたというんですね。

「季節商品なので、在庫は、すべて倉庫に行ってしまっています。冬場、『エアリズム』は店舗では扱っていません。南半球の店舗なら、扱っているんですけど」

現在、ユニクロの商品は、ウエブ上で在庫を調べられるようになっていて、店舗に陳列されていない商品でも、ネットを通じて購入することが可能です。だから、ユニクロの店員は、スマホで在庫を調べてくれた。実際、オンラインストアでなら冬場の日本でも「エアリズム」が買えるはずです。しかし、渡航を翌日に控え、もはやネット購入する時間は残されていませんでした。

店舗をあとにしたものの、「もしや」と思い、事務所のスタッフは、ユニクロの大型店舗に足を運んでみたというんですね。

すると、大型店舗には、「エアリズム」があるではないですか。「極暖ヒートテック」の隣に、しっかり「エアリズム」コーナーがつくられていたというんですね。

私は、この話を、年始の始業後、事務所のスタッフから聞いて、「いったい、どういうことだろう?」と思いましたね。

有明の自動出荷倉庫にストックされているはずの「エアリズム」が、実店舗に存在したということは、オンライン上の在庫管理に何らかの誤りがあったのか、あるいは大型店舗が独自の判断で季節商品の「エアリズム」のコーナーを設けていたのか。

後日、調べてみると、ユニクロ銀座店など、訪日客が多く訪れる大型店舗では、「エアリズム」を店頭販売していることが判明しました。

そりゃあ、そうですよね。東南アジアなどからの訪日客が「エアリズム」を購入するであろうことは容易に想像できますからね。

つまり、ウェブ上の在庫データは、店舗の在庫を網羅したものではないということです。

ウェブ上に在庫がなくても、実店舗に足を運んでみたら、陳列されていたというのも、おかしな話ですよね。

ともあれ、事務所のスタッフにとっては、「無事におみやげを買えてよかった」ということになります。実際、海外の友人は、待望の「エアリズム」に大喜びしていたそうですからね。

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