トヨタは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、誰にでも使いやすいユニバーサルデザインの「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」を、17年10月から発売しています。都内でも目にすることが増えましたよね。
4日、トヨタは、この「ジャパンタクシー」の車いす乗降について、改善進捗の説明会を行いました。
※改良された「ジャパンタクシー」に車いすの客を乗降するデモンストレーション
「ジャパンタクシー」は、ユニバーサルデザインを謳いながら、かねてから、車いすの乗降がしにくいことが課題でした。私も、「ジャパンタクシー」のドライバーから、「車いすの乗降に手間が掛かりすぎて心理的負担がある」「空港や渋滞時に長時間停車することになるので、周囲に迷惑をかけないか不安」といった話を、何度か聞きました。
従来、「ジャパンタクシー」の車いすの乗降は63工程。慣れたドライバーでも10分から15分かかっていた。これが、3月発売予定の「ジャパンタクシー」では約3分・24工程になるといいます。
また、昨年末までに販売された約1万600台の既販タクシーは、約4分・38工程に短縮する措置を、無償で行います。
「昨年初めから検討を進めて、少しでも早く改良を入れたいということで、いまのタイミングになりました。改良には、トヨタ生産方式(TPS)の担当者がチームに入り、作業手順の時間短縮のための工夫をしました」
とコメントしたのは、トヨタTC製品企画ZPチーフエンジニアの粥川宏さんです。
では、何が変わったのか。例えば、車いすを乗せるスロープを3枚折りから2枚折りにした。スロープの収納袋を廃止した。フロア固定バンドをワンタッチ式にした。車いす固定ベルトはリアフロアに常設した。
自動車の生産ラインの改善の要領ですよね。
また、コスト増を避けるため、あえて電動の機械を使わなかった。これも、生産ラインの考え方と同じといっていい。
もっとも、改良後のタクシーであっても、車いすの客を乗せるには、少なくとも3回の練習が必要だといいます。ドライバー向けの車いす乗降の研修会も開催されていますが、全てのドライバーがスムーズに行えるようになるには、時間がかかるでしょう。
ドライバーの高齢化も課題です。仮に一度覚えたとしても、時間が経つと乗せ方を忘れてしまうというんですね。「ジャパンタクシー」は、車いすの乗降の作業手順についてラベルで表示するなど、ドライバーにも配慮しました。
理想は、誰でも車いすの客を乗降させられることです。そのための改善は、これからも続けられます。