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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日野×いすゞ、国内初のハイブリッド連節バスの実力は?

日野自動車といすゞ自動車は、国産初のハイブリッド連節バスを共同開発し、24日に公開しました。27日、日野は「日野ブルーリボン ハイブリッド連節バス」として、いすゞは「エルガデュオ」として、それぞれ発売すると発表しました。

※日野自動車車両企画部チーフエンジニアの山口誠一さん(左)と、いすゞ自動車バス商品企画・設計部チーフエンジニアの鈴木隆史さん

「バス事業者では、ドライバーの高齢化、大型二種免許取得者の減少などに対応し、いかに現在のドライバー数で効率的に運営するかが課題になっています。また、五輪などスポーツイベントや音楽ライブ、大企業の通勤や大学の送迎など、限られた時間で大量の人を輸送する必要性が高まっています。解決策として連節バスが必要になっていました」

と、いすゞ自動車バス商品企画・設計部チーフエンジニアの鈴木隆史さんは、開発の背景を説明しました。

今回共同開発した連節バスの定員は、一般的な路線バスの約1.5倍にあたる120人で、大量輸送が可能なんですね。

従来、連節バスといえば、独ダイムラー製など、海外のものが輸入して使われ、国産はありませんでした。船便で日本に運ぶまでに時間がかかるうえ、日本仕様に改造が必要だったり、整備がしにくかったりした。その点、今回共同開発したバスは、日野といすゞが折半出資するJバスが宇都宮工場で生産する国産で、通常の路線バスと同じ操作系を採用しています。ドライバーには使い勝手がよく安心です。

また、日本の道路事情を踏まえ、最小回転半径を9.7メートルに抑えて、小回りが利く。全長は、通常の路線バスの約1.7倍の18メートルありますから、一見すると長いのですが、乗ってみると、カーブも自然で違和感はありません。

また、環境に配慮し、ハイブリッドシステムを採用しています。

目玉は、路線バスで世界初採用のドライバー異常時対応システム(EDSS)でしょう。ドライバーに健康問題など異常が発生した場合、ドライバー本人、もしくは気付いた乗客が非常ブレーキのボタンを押すことで、車両は安全に停車します。


※非常ブレーキのボタン

非常ブレーキのボタンが押されると、車内には音声アナウンスが流れ、赤いランプが点滅して緊急停車を知らせます。立って乗る乗客に配慮して、ゆるいブレーキが3.2秒かかったあと、完全に停車。車外には、ハザードランプとホーンで知らせます。

ちなみに、いたずらで押された場合などに対応するため、ボタンが押された後に、ドライバーが解除することも可能です。

このほか、専用誘導線を道路に敷き、車両に搭載したカメラで誘導線を認識して操舵、減速制御を行うことで、プラットホームとの間を45mm±15mmに抑えて停車するシステムを開発。さらに、先行車の加減速情報を通信でえることによって、後続車の加減速がなめらかになる、協調型車間距離維持支援システムなども開発しています。


※車内の連節部

商用車は、市場の需要も、メーカー側の開発資源も限られるなか、人手不足のなかでの大量輸送やバリアフリー化、環境対応、安全などへの対応を求められています。その意味で、商用車メーカー2社の“協調”は必然ですよね。

2020年の東京五輪では、国産連節バスの活躍が見られることになりそうです。

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