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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

韓国LGからの客人――その3

一昨年昨年(その2)に続き、今年(その3)も韓国LGから来客がありました。LG経済研究院からのお客さんです。マネジメント研究部のリサーチフェローのチャン(Seongkeun Jang)さんと、シニアアドバイザーのイ(Jipyong Lee)さんです。拙著『パナソニック、『イノベーション量産』企業に進化する!』(PHP研究所)を読んでくださって、パナソニックが推進するイノベーションについて意見を聞きにこられたんですね。私にとっても、大変、刺激的な時間となりました。


※左からイさん、片山、チャンさん

パナソニックは、2012年に現社長の津賀一宏さんが社長に就任以降、イノベーション企業になるために、組織、人事、モノづくりなど、さまざまな側面から改革を行っています。

とくにお二人が興味をもっていたのは、パナソニックβという、パナソニックのシリコンバレーの拠点ですね。新規事業創出、企業の文化改革の先導者、人材育成の役割などが期待されます。また、パナソニックβから生まれた「Home X」についても、成功のカギは何かなど、鋭い質問を受けました。

もっとも、パナソニックβや「Home X」は、本当の成果が出てくるのは、これからではないでしょうかね。ようやく3年目ですが、試行錯誤を重ねている。ただし、将来のための投資は、短期で成果があがらないからといって打ち切っては意味がありません。長い目で、新たなビジネスの種を育てなくてはいけない。

インタビュー内容の詳細は省きますが、感じたのは、日本企業も韓国企業も、製造業がぶつかる壁は同じだということです。

ITやネットワークの時代になり、大量生産大量消費時代のモノづくりは、通用しなくなっています。しかし、組織が大きいほど、また、成功体験があるほど、過去に成功したビジネスモデルを破壊し、デジタル時代の新たなビジネスモデルを構築するのが難しい。

「単品売り切りからリカーリングへ」「ハード主導からソフト主導へ」などと、言葉でいうのは簡単ですが、社員のマインド、企業文化を変えるのは並大抵のことではありません。日本企業も、韓国企業も、苦労しているんですね。

最後に、お二人から、こんな質問を受けました。
「パナソニックが『ヨコパナ』に取り組んだように、LGにも『ヨコLG』をお勧めしますか?」

答えは、「Yes」ですよね。デジタル化が進み、技術進化のスピードが増し、これだけ環境変化が激しいなかで、「タテ」すなわち従来の製造業の機能別組織だけでは、もはや通用しないのは間違いないでしょう。電機や自動車といった業種、また地域を超えて、これはいえると思いましたね。

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