今回の東京モーターショーには、新しい仕掛けがズラリ。子どもや家族連れ へと来場者層を広げるために、モーターショーも変わっていかなければいけません。目指すのは、新しいファンづくりです。
※e-Motorsportsの会場
青海エリアの「FUTURE EXPO」では、話題の「e-Motorsports」を楽しむことができます。世界各地の強豪が集結し、プレイステーション4用のドライビングシミュレーションゲーム「グランツーリスモSPORT」の中で、GRスープラを用いたワンメイクレースなどで腕を競います。
「e-Motorsports」は、モータースポーツの緊張感が気軽に楽しめることから、子どもから大人まで、まさに世代を超えて、誰もが楽しめるイベントといえます。
今回、東京モーターショーで「e-Motorsports」の大会がスタートしたことは、モーターショーの様変わりを大きく印象づけました。
※キッザニアのマツダブース
青海展示棟では、子ども向け職業体験型施設「キッザニア」とのコラボレーションにより、クルマに関わるさまざまな仕事を体験するエリアが設けられました。
トヨタブースはクルマの整備体験、日産ブースはカーデザイナー体験、ホンダブースはプロレーサー体験など、各自動車メーカーが趣向を凝らしたプログラムを実施しています。
マツダブースでは、子どもたちが金型磨きに挑戦していました。
マツダの工場では、職人たちが金型を一つひとつ手で磨き、1ミクロンレベルの精度に仕上げます。この金型の精度がマツダのクルマに命を吹き込んでいるんですね。
子どもたちに、金型磨きを教えるのは、マツダ広島工場のツーリング部の人たちです。「キッザニア」には、ツーリング部から総勢30人が、送り込まれました。
このほか、有明エリアと青海エリアを結ぶ「オープンロード」には、電動キックボードや小型モビリティなどのほか、子ども向けのキッズカート乗り場もあります。
また、500機のドローンが夜空に絵を描くエンターテインメントも行われました。
それにしても、なぜ、東京モーターショーが様変わりできたのか。営々と続いてきたモーターショーを変えるのは並大抵ではない。
そこには、主催者の日本自動車工業会の若手ワーキンググループの大奮闘がありました。
「すべては、自工会の若手事務局がやり切った企画です」と、自工会会長の豊田章男さんは、自工会会見の席上、述べました。
自工会は今回、モーターショーの一連の組織から飛び出した形で、自動車メーカーなどの若手10人以上からなるワーキンググループを設けました。
若手ワーキンググループからあがってくるアイデアは、途中でつぶされることのないよう、トップに直接レポートする仕組みがつくられました。
こうして、従来にはない、子どもも家族も楽しめる、さまざまなイベントが実現したんですね。
新しい仕掛けの成果はまだわかりません。新しいファン層を獲得できたのかどうか。
大切なのは、続けていくことです。
今回、東京モーターショーは「変わる」ために大きな勝負に出ました。
一過性で終わらないように、その熱量をもち続けること。みんなで応援し、楽しむこと。それこそがモーターショーの存続にとって大切なのではないでしょうか。